何だか愛らしい

 ネット上のミソジニー男性やミサンドリー女性からは「自分よりも恵まれた同性への嫉妬や劣等感を異性蔑視でごまかしている」という印象を感じる事が多い私ですが、この自称「ミソジニスト」の男性主人公はツンデレ的な愛らしさがあります。そういえば、誰かが「K.A.(仮名)やH.T.(仮名)のような男の女性嫌悪は、かえってある種の女を引きつける」と言って(書いて)いました。
 いわゆる「女社会」の欺瞞を主人公が見抜いているのには女の私も同感ですが、ミソジニー男性もミサンドリー女性も少しでも異性愛欲求がある限りは隙が出来てしまう恐れがありますね。
 この小説は、主人公を「ミソジニスト」にする事によって、「女」をうまく描けています。ある人が「女性に対してやたらと批判的な男性は女性性が強いタイプではないのか」とエッセイで書いていましたが、主人公はまさしく魅力的な「男性ヒロイン」です。