★★★「かわいいは作れる」を地で行く男の娘

キモオタが女装する話だと思っていた。全然違った。主人公は同性愛に寛容なだけのノンケだし、気持ち悪いとかドギツイ表現はないから、男でも抵抗なく読める。反対に腐っている方には物足りないかもしれない。
とても読みやすい文だ。基本をきっちり押さえていて、表現にも引っ掛かるところがない。
タイトルに偽りあり。おめでとうは自虐だとしても、進化はしていない。最初から完璧な女子。生物学的な女は女だってことにあぐらをかいているから、造られた女の方がよっぽど努力していて女子力があるとは聞いたことがあるけど、それにしても女子力が高すぎる。二重人格なんじゃないかと思うくらいに使い分けているのがすごい。
彼女は男女問わず好かれていき、色々と大変な目に逢う。せめて男に対してはもっと気をつけるべきではないのだろうか。自分が男なんだからどういう態度がまずいかはわかるだろうに。その鈍感さこそが主人公足らしめているのだが。
花やしきのデートが楽しそうだった。両方とも爆ぜろと思った。
続と続々があるらしい。「彼」よりも「彼女」の存在感の方が大きくなってしまった主人公に、今後どんな試練が待ち受けているのか楽しみだ。そして「彼」としてでも「彼女」としてでもいいから、主人公にも恋愛をさせてあげてほしい。
コンテスト受賞作は伊達ではない。書籍化されるのにも納得だ。

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