かねさんのひだまり

@abi

第1話

かねさんは

小さくて

明るい元気なおばあさんだった。


ふだんは方言まるだしでしゃべるのに、他人のまえでは標準語で話す。




85歳で2ヶ月入院して、あっけなく逝ってしまった。

自分は老衰だから、いきるために食べたくないご飯はたべない。と食事を摂ることをやめた。

家に帰ってもひとりぼっちだから、寂しくて生きるのが嫌になったのかもしれない。

 家族はいてもひとりぼっちだった。ひとりでなんでもやってきたかねさんは、家族に甘えることができなかった。

 かねさんには可愛い孫息子がふたりいて、ふたりの成長を楽しみに生活していた。

 うえの孫息子が火事で亡くなった。

 かねさんは家にいたのに、二階の部屋から火が出たのに気が付かなかった。

 かねさんは自分だけが助けられて、申し訳ないと想っていたのだ。

 かねさんは、いつも元気でまっすぐまえを向いて歩いた。

 近所のひとたちに、いつも笑顔で挨拶していた。

「けいこちゃん、朝早くから頑張るねえ、いってらっしゃい」

 けいこちゃんはいつも始発電車で通勤していたので、毎朝かねさんに挨拶されてうれしかった。




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