母親を『魔女』とされて殺された少年は、それでも近隣の人たちに受け入れられながら普通の学生として暮らしていた。
しかし、ある日。
その平穏な暮らしは全て壊される。
それは軍部の中に広がる先走った恐れからの行動だったが、その恐れがさらなる圧倒的な恐怖を生み出してしまう。
彼は、『覚醒』したのだ。
圧倒的な力で軍部を蹂躙していく、少年。
この日から、全てを敵に回した少年の戦いが始まった。
第1章を読んでの感想です。
全部読んでからとも思ったのですが、とても自分好みのお話だったので、じっくり読みたいと思ってとりあえずこの時点でのレビューを投げてしまいました。
ジャスティスと魔王の戦いについ目がいってしまいますが、その背後にある非常によく練り込まれた世界感や、敵味方ともに決して記号的でも薄っぺらくもない、自分自身の意志や信念で行動しているとわかる人物像が幾重にも重厚に物語を彩っています。
その中で描かれるのは、人間のサガか、それとも人間性の美しさなのか。いや、そのどちらもなのかもしれない。
『魔王』の孤独な戦いが、今後どう展開していくのか非常に楽しみです。
母を殺された少年が復讐を誓い、だんだん強くなる敵と戦い最後は首領クラスと死闘を演じる……という、ストーリー的には良い意味で王道をついた展開。
そこに少年の内面の変化や、仲間達との関係性がきっちり丁寧に描き込まれているところが、この物語の面白いところです。
キャラクター相互に見えているものの違い、考え方のズレなども盛り込まれた中盤部分が個人的には最も惹きつけられたところでした。もちろん終盤の決戦も圧巻です。
そしてラストは読後感よく終わっていますので、長い物語ですが是非最後まで読み進めてみて下さい。
キャラクターも敵味方とも個性派揃いですので、きっと誰か応援したくなると思いますよ。