架空の歴史書

もうちょっとこう……進めばちょっとおもしろそう。変わった表現。

※12月追記
ずっと、なんというかこのお話の真意が図りかねて、読んだり止めたりを繰り返していたけれど、キャッチコピーを見てようやく読み方に気づき(遅ぇよ)、再読できた。
ドイツ帝国興亡の歴史をwikiで読んだような不思議な満足感を得られた。かつての名だたる帝国が、様々なきっかけできな臭くなっていき、暗殺の応酬がなされた辺りからは怒濤のように崩壊に突っ走っていく様が端的に描かれている。「そりゃそうなるよなぁ~」とコタツにぬくぬく入りながら人の不幸を舐めるという楽しみ方ができた(不適切だとは思う)。
興亡の歴史の狭間で翻弄されてきた人々の嘆きが、うっすらと垣間見えたのが、「この方はやっぱり小説家なんだなぁ」と思えて、なぜかじんわりしてしまった。案外、この辺りをもうちょこ~~と掘り下げると、さらに読後感は違ってくるのかも。
崩壊が始まってきてからは、流れるように(というか流すように)あっさりと歴史がまとめられている。たしかにキャッチコピーからすると、この方が適切なんだろうけど……個人的には、この辺りもしっかり書いてくれると、端的に描かれる歴史の断面からドラマが滲んでくるようで、きっとこのジャンルにはまっちゃうだろうなぁと思った。

こういう表現を掘り下げつつ、広く読者に間口を広げてくれたら、ジャンルとして確立しそうなのになぁ。誰かやってくれないかなぁ……