主人公である君島亮哉の淡い初恋の回想から始まる本作。
高校生である亮哉は恋の対象である葉月の家へと赴くが、そこで出会った少女と共に影の中に引き摺りこまれる。『現実』から『非現実』へ移り変わる描写が丁寧でいいですね。物語が始まったら“いきなり異世界”ってのが多いのなんのって(笑)
さて、舞台は江戸時代のようなのですが、どうやらそこは普通の江戸時代とは違う雰囲気が漂ってます。だって兎のような化け物(妖怪)や幼狐(すずねぇ)などが存在しますからっ。妖怪好きとしては、今後どのような妖怪が出てくるのか、弥が上にもワクワクしますね。
亮哉は文政年間をどう過ごしていくのか――先が気になります。
現代の若者が異世界へ…ではなく、江戸時代へ飛ばされてしまう和風ファンタジー。
和風モノは少女レーベルに比較的多く、本作もそれにそぐう柔らかな筆致が多く見られます。
何より、時代考証が凄いです。
江戸時代の風土、風習、風俗、風刺。
めちゃくちゃ調べられています。
当時の日本人は背が低く、170センチで長身の部類。
という事実も、あえてきちんと書き込んでおられる。
乙女ゲーでは現代人と同じ体型設定が多いですが、あり得んですよね。
このように、現代と当時のギャップを楽しめる構造でありながら、タイムトラベルの原因である妖術・妖怪の匂いも仄めかせており、とても好調な滑り出し。冒険活劇としても楽しめそうです。
ありふれた異世界にはもう飽き飽き! 過去の歴史にも触れられる一風変わったアドベンチャー。
更新が待ち遠しいです。