軽妙な会話や魅力的なキャラクター、細やかな伏線

ネタバレ有りですので未読の方はスルーしてください。どうにも僕には、ネタバレなしの感想は書けないようで……

他の方のレビューでも、あのトリックを指しているとわかる表現が多いので、そこに触れます。まあそれが無くても読めばすぐにわかりますよね。こういった構造の物語なら真っ先に考えることなので。けれど、それは技術の巧拙の問題ではないと思いますし、伏線の張り方はとても上手だと思いますので悪しからず。

人物誤認系トリックとして、口調を使うのは割とある発想だと思いますが、普通は結構な無理筋です。だから、今作の、日本語を学ぶ過程で妙な語彙ばかりが増えてしまった、というのは目から鱗でした。愉快なため記憶に残りやすい和やかなギャグパートが伏線として軽やかに機能しています。読者に違和感を与えずにストーリーとして魅力的なシーンにさりげなく仕込む、理想的な伏線の張り方だと思います。