異世界に召喚されたのを皮切りに、次々と舞い込む困難、理不尽。それらをロボットで打ち砕いていくというプロットは、男子の心を魅了します。
しかし単なる勢いだけのロボット物というわけでもなく。国家や人々の対立関係、拳王機・王機兵などの世界観設定、細かい部分まで丁寧に練られている印象でした。
ただせっかくインパクトのあるキャッチコピーや内容なので、もう少し盛り上がる展開や要素を入れても良いかもしれません。その辺はこれからに期待ですね。
主人公の流狼を支えるメインヒロインのアルが魅力的です。……え、ヒロインでしょう?人口知能だのロボットだのは、関係ない!
※8月12日追記
また改めて最初から読まさせて頂きました。
やはり最大の魅力は緻密に作りこまれた世界観や設定であり、これだけの情報量を、しかし読者が逃げない程度に表現できるのは並大抵のことではないと思います。
意外にも本編を通して『アルカシード』の出番は少ないのですが、序盤での登場シーンにインパクト&爽快感が山盛りだったので、多くの読者を掴んだのだと思います。
深く練りこまれた『でっち上げ』の中に光る王道。それこそがこの作品のオススメポイントでしょう。
これからの展開も気になります。
ファンタジー・メカ物として本作が頭一つ抜きん出ているのには、理由があります。
古武術に長けた恋人持ちの主人公という、それだけで中高生のハートを鷲掴みにしそうな造形ですが、さらに異世界召喚で、恋人とは生き別れになって…なんて手に汗握るに決まっているじゃありませんか。
何よりも、徹底的に練り込まれた異世界の歴史と地政学が半端ではないと来ました。
王機兵の誕生にまつわる壮大な過去の戦乱を紐解くだけでも、めちゃくちゃ面白い。異世界召喚の出自や魔術薀蓄も含まれており、数々の要素がきちんと絡み合っています。単に読者ウケするから導入したのではないのです。
最後に構成の配慮。基本は流狼とアルの対話形式で進行しますが、冗長にならないよう場面転換や視点変更も適度に挿入されており、要所要所で目玉のメカ戦闘をきっちり入れて来る隙のなさ。
こんなん絶対ハマるやん…。
個人的には魔力を視覚化できるサイアーがお気に入りです。軽薄な性格も良いですね。
帝国で暮らすヒヨちゃんも気になっていますが…待ち受けるのは残酷な運命か…。
タグに『でっち上げ設定多数』や『SFか悩ましいところ』とありますが、大丈夫ですよ!
フィクションですから作中で説明が付いていれば、現実と異なる設定でも問題ありませんし、異世界だからSFよりも「ファンタジー」でしょう。
自信を持って完結まで書き上げて欲しい力作です!