エピローグ

 晴さんが悠佑を逮捕して何日か後、私の無実を知った延子が病室で眠っていた私のところまで謝りにきた。世間話をしようにも何を話していいかわからず、気まずい空気を感じた延子は肩を小さくして帰っていった。私と延子がお互いに謝りあっていたことしか覚えていない。私は結局、高校を転校することになって、それ以降は延子とも疎遠になっていた。

 そして今日、あの事件から10年が経った。私の上司はこの事件を解決してくれた張本人なのだが、覚えているのかいないのか、いつも通り業務の確認をして黒いよれよれのトレンチコートを羽織って出掛けていった。まあ、私自身、変に気にしてくれるよりは気にしないほうが有難いから良いのだが。あの事件で私は色々なものを失ったからな。

 さてと。過去の話は隅に置いておいて、何やら男子高校生の周辺で妙なことが起きているとかだったな。就任初日に奮発して買った白いトレンチコートと分厚いメモ帳を持って、話を聞きに行くとするか。これを持っている日は何か良い事が起こりそうな気がする。例えば、疎遠になっていた古い友達と、偶然再会する、とか? 男子高校生を連れて、いつものそば屋で昼でも食べに行ってみるか。

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空腹を満たして太る エルシエロシ @nyarsell

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