概要
客は毎日来る。金はない。理由を聞くと、みんな言う。「昔からや」。
経営難のゴルフ場・霞ヶ丘カントリークラブに、ゴルフをやったことのない支配人・沢渡冴子が着任する。
客は毎日来ている。朝いちばんの枠は埋まっている。それなのに、金がない。予約表の名前の横には、丸の中に「無」と書かれた印がいくつも並んでいて、それが何人いるのか、誰も数えたことがない。
レジは毎日合わない。カレーの肉が一段落ちただけで査問会が開かれる。存在しない規程が歯科医の求愛を捌き、キャディは十二人同時に風邪をひく。誰も悪くない。誰も嘘をついていない。理由を聞くと、みんな同じことを言う。昔からや。
三十年ぶんの帳簿の穴の底に、何があるのか。新しい支配人のまわりで、受付が、芝が、売店が、練習場が、それぞれの持ち場から同じ穴を覗き込むことになる。
ウォームアップ、アウト九
客は毎日来ている。朝いちばんの枠は埋まっている。それなのに、金がない。予約表の名前の横には、丸の中に「無」と書かれた印がいくつも並んでいて、それが何人いるのか、誰も数えたことがない。
レジは毎日合わない。カレーの肉が一段落ちただけで査問会が開かれる。存在しない規程が歯科医の求愛を捌き、キャディは十二人同時に風邪をひく。誰も悪くない。誰も嘘をついていない。理由を聞くと、みんな同じことを言う。昔からや。
三十年ぶんの帳簿の穴の底に、何があるのか。新しい支配人のまわりで、受付が、芝が、売店が、練習場が、それぞれの持ち場から同じ穴を覗き込むことになる。
ウォームアップ、アウト九
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?