怖いものを直接見せるのではなく、何かいるかもしれないという感覚を読者に植え付けてきます。視聴者の視線と、何者かに向けられる視線、その二つを重ねながら、日常の延長線上にじわじわと恐怖を侵食させていく構成が上手いと感じました。怪異の正体を追う前から、読者自身が今、自分も見られているのではと意識させられるのが印象的で、今後どこまで日常を侵食していくのかが気になります。
配信主・裕太の飄々とした語り口と、視聴者とのテンポの良いやり取りがまず心地よい。その日常の延長線上に、橋の噂、正体不明の女性、そして「私のこと、好き?」という不気味な通話電話が少しずつ滲み出てくる構成が巧みだ。派手な描写に頼らず、足音や沈黙、気配だけでじわじわと恐怖を積み上げていく筆致に唸らされる。ライブ配信という現代的な題材とホラーの相性の良さを実感させられる、続きが気になる一作。
率直に言って、読みやすく面白かった——が、こわい。なんだかよくわからないけれど、とにかくこわい。でも、それは怖さの見せ方が上手いからだと途中で気がつきました。小出しではあるのだけれど、それが徐々に近づき、存在感を増して、大きくなってゆく感じ。動画配信という昨今の流行している手法を用いているのも好感が持てます。そこに「在る(いる)」ものへの恐怖。足音、視線、気配……。そして、あるいは実体。それらの「こわさ」を時間をかけてじっくりと描いており、主人公の人間性のよさもあいまって、読み応えのある作品に仕上がっていると思います。
視線。タイトルにもなっていますが。本当に怖いのって、視線だと思うんです。だからほら、シャンプーしているときに後ろが気になったりするじゃないですか。あれです。読んでいてひりひりと感じる視線。その恐怖を感じたければ、極上のこちらの作品を、ぜひ。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(159文字)
相談配信をしている主人公・裕太の日常から始まるホラー作品です。ぶっきらぼうに見えながらも、相談者を放っておけない裕太の人柄が、配信でのやり取りから少しずつ伝わってきます。心霊ものというと最初から強い怪異が出てくる作品も多いですが、本作はまず普段の生活や人間関係を描いてから、じわじわと不穏な方向へ進んでいくタイプ。友人とのやり取りも親しみやすく、日常パートの空気があるぶん、この先そこへどんな違和感が入り込んでくるのか気になりました。配信という身近な題材とホラーの組み合わせが、これからどう転がっていくのか楽しみです。
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