概要
奪え。紋章が満ちる、その前に。
この国では、生まれ持った『紋章』が全てを決める。
血で継いだ『本紋』を持つ者が武将となり、そこから『直印』『分印』『端印』と、力は上から下へ配られていく。何ひとつ持たない農民は、ただ踏まれて死ぬ。
俺の村には、年に一度、笠を被った領主が来た。
成人した村人から十人を選び、その胸に手を当て、端印を与えていく——『御加護の儀』。
だが、紋章の血を持たない体は、上から零れた滓(かす)ですら耐えられない。三日だけ笑い、四日目に胸の黄色が濁り、内側から焼けて死ぬ。
親父も、お袋も、そうやって死んだ。
十五の秋。俺は袖に砥いだ刃を隠し、初めて広場に立った。
力さえ宿れば、手を当てられている間、あの笠との距離は一歩もない。
——だが、俺の胸には、何も起きなかった。
「……まだ空(から)だな
血で継いだ『本紋』を持つ者が武将となり、そこから『直印』『分印』『端印』と、力は上から下へ配られていく。何ひとつ持たない農民は、ただ踏まれて死ぬ。
俺の村には、年に一度、笠を被った領主が来た。
成人した村人から十人を選び、その胸に手を当て、端印を与えていく——『御加護の儀』。
だが、紋章の血を持たない体は、上から零れた滓(かす)ですら耐えられない。三日だけ笑い、四日目に胸の黄色が濁り、内側から焼けて死ぬ。
親父も、お袋も、そうやって死んだ。
十五の秋。俺は袖に砥いだ刃を隠し、初めて広場に立った。
力さえ宿れば、手を当てられている間、あの笠との距離は一歩もない。
——だが、俺の胸には、何も起きなかった。
「……まだ空(から)だな
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