概要
それは、日常の裏側、人の心に広がる精神世界。
そして、人の心は異世界よりもずっと遠い。
周囲の小さな違和感に気づいてしまう高校生、高城蓮司。
ある日、彼は幼馴染の遥に絡みつく黒い糸と、色を失ったもう一つの世界を目にする。
人の心が象徴となって現れる「外界」。
その奥に広がる、一人ひとりの精神世界「内界」。
謎めいた数学教師・葛城に導かれ、蓮司は他人の心へ潜る者――潜心者となる。
彼の手に現れたのは、精神世界の構造さえ壊す黒い魔剣、ティルヴァ。
だが、心の中で見えたものが、真実とは限らない。
救うために振るった刃が、救いたかった心まで壊すかもしれない。
何を信じ、何を疑い、何を斬るのか。
人の心をめぐる、心理探索×異能バトルファンタジー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人の心に触れる力が問いかける、心と向き合う物語
この作品は、人の心に入り込めるという異能設定を使いながら、「人を救うとはどういうことなのか」を丁寧に描いているところが魅力だと思います。
特に印象に残ったのが、森下栞の心の中へ入り、彼女を苦しめる影を蓮司が斬るエピソードです。一見すると無事に救出したように見えますが、同時に彼女自身が向き合うはずだったものまで傷つけてしまった可能性が残り、他人の心へ介入することの怖さがよく伝わってきました。
もう一つ印象的だったのが、黒沢悠斗を救おうとするエピソードです。「もう選ばなくていい」という言葉によって苦悩から解放されながら、その代わりに自分で考え、選ぶ力まで失っていく構造は、とても興味深く感じま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!緻密かつ幻想的な、学園シャドウファンタジー
誰しも表の顔と、そして裏の顔があります。
そんな裏側の世界が垣間見えた所から、この物語は始まります。
主人公、蓮司は、人より優れた観察力を持つ高校生。
その能力からか、学校はあまり好きでは無い様子。……ですが、決して冷血漢ではありません。
入口となったのは、とある女子生徒から感じた違和感でした。
笑っているのに、笑っていない。――そんなズレに気付いた瞬間、世界は変貌します。
そこは、色彩を欠いた、現実の影のような世界……。
合わせ鏡のように同じ場所を徘徊する、灰色の生徒たち。
この「外界」と現実世界とを行き来出来るようになった蓮司は、否応なく人の裏側に向き合う事になるのですが……。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「丁寧に描かれる心情世界」と「人の心に向き合う物語」が好きなあなたへ
人の心が形となって現れる精神世界。
そんな世界に入り込む力を持った高校生・蓮司が、教師の葛城とともに、人の心に関わる問題へ向き合っていく物語です。
【丁寧に描かれる心情世界】
恐怖や迷いなど、目には見えない心を形にして見せる表現がとても上手いです。
人によって異なる心のあり方が、景色や物など様々な形で描かれ、「こうやって表現するのか」と何度も感心させられました。
【人の心に向き合う】
苦しんでいるなら、助けてあげたい。
でも、その苦しみだけを取り除く結果が、本当にその人のためになるのか。
悩んだり迷ったりすることにも意味がある。
人を助けることの難しさを、蓮司と一緒に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!観察することの重みと怖さ
人間関係に冷め、周囲と距離を置く蓮司は、他人の嘘や不穏な空気を察知してしまいます。
そして、追いつめられる幼馴染を目撃した瞬間、彼の視界は人の心が作り出す無色の精神世界「外界(ワールド)」へ変貌してしまいーー
教室内のカーストや人間関係の歪みが、そのまま「外界」で視覚化されて登場する構造が秀逸です。
冷めていて面倒くさがりながらも正義感を秘めた蓮司と、無愛想で冷徹に見える数学教師の葛城との関係性が魅力的です。
葛城の武器が「スナイパーライフル」という点も、物語の奥行きを想像させワクワクさせられます。
相手の感情が腕を通じて流れ込んでくる描写など、バトルアクションに重厚感があり、会話の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人の心の繊細さ、理不尽さに丁寧に向かいあえ――数学教師の『授業』
主人公は男子高校生・高城蓮司。
蓮司は、期せずして幼馴染(?)の瀬川遥の『心の世界』に入り、人の心に大きく干渉する能力に目覚めます。そんな彼を、数学教師・葛城が導きます。
そして、森下栞という女子生徒が財布を無くして物語は急転回します。
この物語で描かれるのは『人と関わり、人の心に影響を与える』ということそのもののように私は思います。能力という形で派手に見えやすくしてありますが、実は、口頭で人の心に影響を与えるときは、場合によってはもっと影響が大きいもので、たった一言で生きるはずの人が死んだり、死ぬはずの人が生きる場合もあります。それも往々にして、意図にかかわらず、です。
我々は、それで…続きを読む