概要
とある家族の歴史と平安説話の世界が交差する時
人の世の理を越えた愛着と執念の深淵が仄見える。
京都五条 高辻室町に今も実在する神社の伝承
平安期の説話文学
『宇治拾遺物語』
四十七〈長門前司の女 葬送の時 本拠に帰るの事〉
に取材したホラー短編。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!変化のなかの不変の気味悪さを描く芸術作品
モキュメンタリーホラーのようであり、ミステリーであり……ぼくはこの作品を読んだとき、ひとつの芸術作品のような作品だと感じました。
昭和53 年にあるひとりの男性が行方不明になる。その行方不明になった男性の姉にあたる女性はその日から時が止まったまま。そうしてその女性を置き去りにしたまま平成、令和と時が流れていく。そしてまた……。
変化の中にある不変がひっそりと隠れていて、不気味感を感じさせます。
宇治拾遺物語の引用がマッチしていていっそう不気味さを醸し出していると言えるでしょう。その内容が分かればいっそう「おお!」となるのですが、あえて現代語訳していない文章を置くことで、頭の中では能や歌…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その夜、「ビバノン音頭」は聴けなかった——
古文の引用がカッコいい!
そして、とにかく仕掛けが上手い!
読み終わった後、聞いていないはずの、
─── ガラガラガラ…… ───
という引き戸の音が今も耳を離れません。
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私は、古文パートが出てくるたびに一読した後、AIに現代語訳してもらいながら読み進めました。
これがちょっとした衝撃でした。
これまでも、本を読みながら検索やAIを使うことはありましたが、「(時代を往還する本文)と(古文とAIの往還)」という読書体験が、小説の構造とピッタリとハマり、物語が進むごとに脳汁が溢れてきてヤバかったです。
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現代語訳したついでに、時代考証も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ゾゾッ!読後、検索してしまう。そして二度目の鳥肌!
『宇治拾遺物語』の原文と、昭和・平成・令和を生きるある家族の物語が交互に進むホラー短編でモキュメンタリー風味も感じます。
読んでいると、こういうことなのかな?と仮説が次々に浮かびます。でも、どの仮説も最後の一歩で確定してくれません。
この……作品が解釈を拒んでくる答え合わせのできない宙づりの気持ち悪さ!
これが千年前の説話が持つ得体の知れなさというやつでしょうか!?
そして本作はその気持ち悪さを損なわずに現代に運んでくるのです。
古文の知識は不要。現代パートが自然と訳の役目を果たしてくれます。
とはいえ、先にググって現代語訳を読んでもいいかもね(わたしはそうしました)
怖さやお話の…続きを読む