一冊の本に、見覚えのない栞が一枚増えている。妻に尋ねてもあっさり否定され、語り手も「寝惚けて挟んだだけかもしれない」と、いったん流してしまう。そんな小さな違和感から物語は始まります。二人の軽妙なやり取りが日常の温度を保っているため、不穏さだけに傾かず、言葉の置かれ方や、言い切られないまま残る余白を追う面白さがあります。本や栞をめぐる静かな違和感と、その中で交わされる二人の会話を味わいたい人に向いている作品です。
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