概要
賢く物怖じしない彼女は、狩りの途上の大公イーゴリと出会い、その才気を見初められて、遠い都の公妃となる。
慣れない異郷でも、持ち前の気の強さで居場所を築いていくオリガ。
だがある日、彼女は最も残酷な形で、そのすべてを奪われる。明るかった娘は、二度と戻らない誰かへと変わり始めた。
平民の少女は、なぜ後の世に「聖女」と呼ばれたのか。実在した一人の女性の、壮絶な生涯が幕を開ける。
※本作は、10世紀の東ヨーロッパ、キエフ・ルーシ(現在のウクライナ・ロシア・ベラルーシ一帯)に実在した公妃オリガ(聖オリガ)の生涯を題材とした物語です。史実を忠実に再現することを心がけていますが、史料に残らない部分、幼少期や日常の暮らし
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!陽だまりと青春の金色・報復と喪失の灰色
復讐編まで読了した感想になります。
自分は本作を読むまで公妃オリガの存在を知りませんでしたが、
大変惹き込まれました。
本作の一番の特長は、なんといっても地の文の豊かな情景描写だと思います。
主人公オリガ(オーリャ)の体感する温度や質感、色彩などが
巧みな筆致で表現されています。
特に小道具やモチーフを使った反復による、
意味の反転や対比が美しく、その構成力の高さに圧倒されます。
また、物語のスケールは大きいですが、
各章の登場人物(ネームド)の数はかなり絞られており、
無駄がなく、各人のドラマに没頭しやすくなっています。
しかも読んでいる間はそれを感じさせません。むしろ世界観の広…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一人の女性の人生を丁寧に描いていく物語
※公妃編までの感想です
実在した人物、オリガを題材とした、彼女の生涯を描く物語です。
史実だけでは見えない部分も作者様の創作の力によって、当時の人々の生活や情景が見事に描かれており、表舞台に出てくる前の幼少期のオリガの成長や、当時の搾取されるばかりの村落の人々の、苦しみや辛さがありながらも力強く生きていく姿がリアルに描かれています。
オリガが小さな村から出て、公妃となり、頼れる人もほとんどいない中で、必死に自分の場所を確立していく。最初は愛情もなかった夫とも少しずつ愛と呼べるものも育み、子供に恵まれ……一人の女性の人生の歩みが丁寧に描かれており、この女性がどのように生きて抜いていくの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!オーリャを知ってしまったから、物語に重みが生まれる。(幼少期レビュー)
一つ一つの出来事は、決して派手ではありません。それでも、その積み重ねの中で、少しずつ自分の芯を育てていく。
読み進めるうちに、オーリャという少女のことを、ずっと見守ってきたような気持ちになっていきます。
川、蜜、花冠、火、柳の輪。
何気なく登場するものが、少しずつ意味を変えながら物語に積み重なっていく構成も印象的でした。
そして何より、文章がとても上手い。
静かな場面まで丁寧に描かれていたり、
言葉の選び方が、「おぉ……これが小説」
となります。
史実を題材にしながら、いつの間にか「歴史上の人物」ではなく、オーリャという一人の少女を見ている。そんな幼少期編でした。
そして作者さ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!史実の行間に、人の体温を灯す物語
歴史上の人物を描く物語には、名前を知識として伝える作品と、その人が確かに生きていたのだと感じさせる作品がある。本作は、間違いなく後者だと思う。
本作のオリガには、歴史書に刻まれた名前だけでは触れられない、息づかいと体温がある。
川の光、炉端のぬくもり、風の匂い。暮らしの細部まで丁寧に描かれているため、遠い時代の世界へ自然に足を踏み入れられる。静かで美しい文章の奥には確かな熱があり、人物の言葉だけでなく、沈黙に込められた感情まで伝わってくる。
登場人物を単純な善悪に分けず、それぞれが背負う立場や価値観を尊重して描く視線も、この作品の大きな魅力だ。誰かの選択を簡単に裁かないからこそ、読者は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!帰り道、夕日を見て少し悲しくなる感じ
小さな頃は、家族、近所、友人だけが自分の世界だった。
少しだけ、子供の頃の記憶を思い出す。
好奇心、見えないものへの恐怖、別れの寂しさ。
キャラクターの声が聞こえてくる。
村の祭、土着宗教、祈り、日常が壊れる恐怖。
世界が輪郭を持ち始める。
成長、変化、外の世界への憧れ。
頭の中で世界が形作られていく。
幸せいっぱいで、愛に溢れた世界、しかし永遠に続かないと悟る。
遊んだ帰り道、帰路で見た夕焼けのような寂しさ。
細かく設定が作り込まれていて、大好物です!!!
いやー凄い、お手本のような読者を引き込む書き方、本当に素晴らしい。
続きを読むのが楽しみで仕方ない!