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概要
歴史に埋もれた人々の物語
天武天皇の娘でありながら、正式な歴史書にも人々の記憶にも名を残せなかった皇女がいた。紀皇女――その存在を語れるのは、万葉集にただ一首残された歌だけ。
壬申の乱で敗れた近江朝廷の血を引くがゆえに、幼くして表舞台から遠ざけられた彼女は、ある日突然、次期天皇・軽皇子の正妃に選ばれる。しかしそれは祝福ではなく、ある一族の思惑に利用されるための、名ばかりの座だった。
言葉を交わすこともない夫。訪れることのない宮中。そして、ただ一人心を通わせた弓削皇子との歌のやり取りだけが、彼女の慰めだった。
即位、権力、そして静かに進む「消去」――なぜ紀皇女の名は、正史から消されたのか。万葉集に残る一首の歌に導かれ、歴史の陰に埋もれた皇女が、みずからの声で語り出す。
壬申の乱で敗れた近江朝廷の血を引くがゆえに、幼くして表舞台から遠ざけられた彼女は、ある日突然、次期天皇・軽皇子の正妃に選ばれる。しかしそれは祝福ではなく、ある一族の思惑に利用されるための、名ばかりの座だった。
言葉を交わすこともない夫。訪れることのない宮中。そして、ただ一人心を通わせた弓削皇子との歌のやり取りだけが、彼女の慰めだった。
即位、権力、そして静かに進む「消去」――なぜ紀皇女の名は、正史から消されたのか。万葉集に残る一首の歌に導かれ、歴史の陰に埋もれた皇女が、みずからの声で語り出す。
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