概要
その木には、天狗が棲むという。
松の木の木肌から染み出た琥珀色の樹液、松ヤニ。
ソレを、村の子どもたちは、
“天狗の飴“
と呼んだ。
みやびの映画日記様、自主企画
『あなたの創作筋肉を見せてくれ!第7回 Miyabi's Challenge』
参加作品です。
https://kakuyomu.jp/user_events/2912051602239365342
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!願いの前で、少年は覚悟を問われる
母を救いたい少年が、天狗の棲むというアカマツのもとへ向かった。
村の子どもたちが“天狗の飴”と呼ぶ松ヤニ。
その素朴で不思議な言葉から、物語は「願い」と「代償」の領域へ踏み込んでいきます。
大きな松、天狗の伝承、病の母、そして必死に願う少年。
昔話としてすっと入ってくる要素が揃っているのに、読み味は決して単純ではありませんでした。
“天狗の飴”という可愛らしい呼び名から始まる物語が、いつの間にか「その願いに、覚悟はあるか」と問いかけてくる。
そこまでの運び方がとても上手いです。
伝承の怖さと、子どもの切実さと、等価交換という言葉の重みが、短い中で自然にひとつにつながっていました。
その…続きを読む - ★★★ Excellent!!!和太鼓と笛の音が聞こえたら、それがイントロだ。
松という植物の由来は、神様に「祀る」というものであり、
そこには天狗が棲むと言われている。
物語はこのようにして始まる。
ここから始まるのは、二千文字足らずの短い文章にもかかわらず、
一人の母親を救うために、若い命が犠牲(?)にならないといけないという、ある種哲学的なテーマが濃縮されており、
私はこれを、和製ロックの歌詞のように感じた。
内容は百八十度ほど違うが、ランシドというバンドの「time bom」という歌は、ギャングスタが継承されるという歌詞で、
天狗がギャングスタかどうかは別としても、神話に近いものが継承されていく様は、
童謡のようであり、やはりロックだ。
ご一…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神なる木の下で紡がれる、切なくも厳かな民話の調べ
江戸時代初頭、天狗が棲むと恐れられる巨大なアカマツの丘。ある願いを成就したい一心から、山の怪異に呼びかける10歳の少年・弥彦の姿から物語は始まります。
本作の魅力は、五感に響くまるで美しい水彩画をみている様な情景描写です。
青々とした松の香りや、琥珀色に滴る「天狗の飴」のとろりとした粘り気。
畏怖と神聖さが同居する巨木の丘を舞台に、貧しい少年弥彦と、忽然と現れた高貴な少年・常丸との間で交わされる「等価交換」の対話は、不思議な静けさがあり怖いのに心地よい緊張感がある。
民話や伝承が持つ独特の「おそろしさ」と「美しさ」、そして大切なものを守ろうとする少年の純粋な覚悟。
西洋…続きを読む