概要
いつか一つになる、いつか一つだった、樹の名前を冠した町々が漂う世界で。
☆「小説家になろう」でも同名義にて掲載(完結済)しています。こちらでは章構成を少しだけ変えてお送りします。
大規模な災害で、家族を亡くし、遠縁に引き取られた紗子は、その家の同い年のお嬢さまの付き人のような立場で暮らしている。お嬢さまは大祭の、誉れある舞手に選ばれ、稽古に余念がない。紗子は提灯行列のチームだが、必ず一緒に帰るよう、言いつけられ、稽古場の外で待っていた。すると、前庭の橘の木からホトトギスが舞い上がった。何かを告げるように、あるいは何か終わると言いたげに。
「橘の花散る里のほととぎす片恋しつつ鳴く日しぞ多き、」
「ほととぎす来る鳴きとよもす卯の花の伴にや来しと問はましものを。」
口をついた古歌に返しがやってきて、弾かれるように顔を上げた。
傘もささずに、少年が独り木の下に立
大規模な災害で、家族を亡くし、遠縁に引き取られた紗子は、その家の同い年のお嬢さまの付き人のような立場で暮らしている。お嬢さまは大祭の、誉れある舞手に選ばれ、稽古に余念がない。紗子は提灯行列のチームだが、必ず一緒に帰るよう、言いつけられ、稽古場の外で待っていた。すると、前庭の橘の木からホトトギスが舞い上がった。何かを告げるように、あるいは何か終わると言いたげに。
「橘の花散る里のほととぎす片恋しつつ鳴く日しぞ多き、」
「ほととぎす来る鳴きとよもす卯の花の伴にや来しと問はましものを。」
口をついた古歌に返しがやってきて、弾かれるように顔を上げた。
傘もささずに、少年が独り木の下に立
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