紫陽花の咲く庭で、二人は蛍を眺めていた。梅雨の気配が色濃く残る、二人だけの世界。食卓に並ぶスープやパン、リスのように頬を膨らませる少女の愛らしい姿。そんな何気ない日常の描写がとにかく細やかで愛おしい。だからこそ、後半に向けて静かに満ちていく「ある決意」の空気感が、胸を締め付けるほどの切なさを放ちます。タイトルの「蛍雨(けいう)」が意味する通りの、儚くも美しい世界の魅せ方。ここまで淡く、そして叙情的に描ききった筆力に圧倒されました。瑞々しい感性で紡がれた、忘れがたい短編です。
情景描写が美しく儚い物語です。高校生が書いているとの事ですがすごいです。読むと情景が目に浮かぶ物語です。どれだけの想像力があり、どれだけの現実が含まれているのかこちらも考えてしまいます。
この結末は、果たして私が想像しているものなのか。できればそうであって欲しくない。淡々と進む物語、仄暗い夜を照らす蛍が美しくもどこか不安にさせるような雰囲気を醸し出しています。日常のようで日常ではない、胸が少し苦しくなるようなラストでした。
一話完結なので、あらすじを書いてしまうとネタバレの危険性がありますので、多くは語れませんが、結論は読者の判断にゆだねられる形の作品。私は、一つの結果しか想像ができませんでしたが、いろいろな解釈があると思います。少女と青年の身に一体何が起こったのか? おそらく、蛍だけがその答えを知っているのでしょう。【レビューコンテスト応募】
もっと見る