概要
91秒後、歌が始まった。11分後、探査機は沈黙した。
土星の衛星エンケラドス。その氷殻の下の海に降りた無人探査機〈カリプソ〉は、着水91秒後に「歌」を受信した。歌は11分間続き、探査機は圧壊。データは即日機密指定され——12年間、誰もその海に触れなかった。
深海生物音響学者リン・ミウラは、かつてその波形をこう鑑定した一人だった。「これは声である。ただし、地球のどの生物の声でもない」。
12年目、人類は再びあの海へ向かう。有人探査船プロメテウス号。目的は接触ではなく「査定」——封印権限を持つ評価官を乗せて。
一方、氷の下の海では、千年の戒律〈長い静寂〉を守る種族が、空から降りてくる「三つの鼓動」を聴いていた。
これは、二つの孤独な知性が、一つの問いに出会う物語。
ファーストコンタクトSF三部作、第一部(全14話・完結済み)。
深海生物音響学者リン・ミウラは、かつてその波形をこう鑑定した一人だった。「これは声である。ただし、地球のどの生物の声でもない」。
12年目、人類は再びあの海へ向かう。有人探査船プロメテウス号。目的は接触ではなく「査定」——封印権限を持つ評価官を乗せて。
一方、氷の下の海では、千年の戒律〈長い静寂〉を守る種族が、空から降りてくる「三つの鼓動」を聴いていた。
これは、二つの孤独な知性が、一つの問いに出会う物語。
ファーストコンタクトSF三部作、第一部(全14話・完結済み)。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!~ 科学的厳密さの中に潜む、静かな不気味さ ~
第1話のプロローグだけで、本作の質の高さがよく分かります。「降下三百八日目」「水温、摂氏マイナス〇・八度」といった淡々とした観測データの記述に、「九十一秒目に、歌が始まった」という一文がそっと滑り込んでくる構成は、ハードSFとしての誠実さと、静かなホラー的緊張感を同時に成立させていて見事でした。垂直に立つ「一本——いや、その奥に、もう一本」という最後の一文は、説明を一切加えないことでむしろ強い不気味さを残しています。
第2話の視点人物、深海生物音響学者リン・ミウラの描写も丁寧です。「自然は直線を嫌います」という台詞には、彼女の専門性に裏打ちされた説得力があり、SFにおける「専門家としてのリア…続きを読む