概要
<詠んだ想い>
第一首:「同世代一斉スタート」
産声と共にこの世に生を受けた瞬間から、人生というマラソンの号砲が轟き、同じ学年に生まれた仲間と切磋琢磨しながらの競争が始まるが、誰もどんなコースを辿ることになるのか知らないまま走り始めるさまを詠った。
第二首:「初めて思い知る自分の位置」
幼稚園や小学校に行って、初めて思い知る自分の立ち位置や陽キャや陰キャなのか「相対的ポジション」と外気のアゲンストの中で認識する人生初の残酷とも言えるファースト アイデンティティを詠った。
第三首:「ポジションチェンジへの動機」
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人生という作者自身の命題が、十首の短歌として結実した作品。
人生という、ともすれば大きすぎて掴みどころのなくなりそうな題材を、短歌という短い器の中に落とし込むのがお上手だと感じました。
以前読ませていただいた『父』でも感じましたが、「人生」というものは、この作者が作品を通して繰り返し向き合っている一つの命題なのかもしれません。
だからこそ本作では、題材として人生を選んだというより、作者の持つ命題と作品そのものが自然に重なり合っているように感じました。
人生という長い時間を、わずか十首でどこまで掬い取れるのか。
その試みと「人生という名のマラソン」という題がよく響き合った連作だと思います。 - ★★★ Excellent!!!これは短歌という名を借りた最高の物語です。
圧巻です。
一首一首の情景が、ありありと浮かぶのは勿論のこと、十首読み通した時に、ひとつづきの物語を読み切ったような読後感がありました。
どれかひとつでも順番が違っていたらこの「ゴールした!」という味わいはなかったでしょう。
マラソン経験者ではないですが、42.195km走り切ったような清々しさがありました。
一番を決めろと言われたら、
今の私は迷わず「筆走る時給水要らず」を選びます。
でも、一年後に読んだら迷い立ち止まり、違う歌を選ぶのかもしれません。
その時、読み手が走っている場所で、見える景色が違ってくる十首なのでしょう。
こんな言霊が紡げる人になりたい! - ★★★ Excellent!!!「マラソン」に託した短歌の真意
「人生とはマラソンのようなもの」とは良く言ったものではありますが、無我夢中で走っている時にはなかなか「そうだ」とは気がつかないもの。
けれども時に立ち止まり、これまでを振り返る。
すると、不思議に今まで走ってきた「マラソンのコース」が自身の背後に伸びていたのが見えたりもします。
この短歌集は普段ウィットに富む小説を発表していらっしゃる作者様の、そんな真摯な思いが込められているように思いました。
……正直申しあげると、私がこちらの作者様を初めて存じあげたのは「短歌」だったのです。
激動の時代を生き抜かれたお父様への想いを切々と詠い上げた作品でした。
そちらも是非お勧めいたします。
スー…