巨大火山の噴火が相次いだ影響で地下都市への移住を余儀なくされた世界。週に一度、地上の様子を見てそれを人々に伝達する地上観測員は都市の英雄だ。秩序を保つための設定。その設定は、秩序は誰のためのものなのか。秩序を保つことが第一義的とされる社会は正しいのか。正しさとはなにかを問うショートショート。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(397文字)
地下都市ノア第七区という独裁国家で、地上観測員という役職に就く男の物語です。主人公は月浦瑛士、22歳。週に1度、汚染された地上へ行って、その汚染状況の報告をするのです。しかし、あるとき、瑛士は安定を保証された身分をなげうって、思いも寄らぬ発言をするのです。そして悲劇が……地上と地下、真実と嘘、天国と地獄、そのような二律背反が螺旋状に渦巻きながら、作品世界の不条理を炙り出していく展開には、息を飲むスリルを感じました。終わらない、いいえ終われない世界の悲しみを描いた秀逸SF短編。【レビューコンテスト応募】
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