概要
諸邦の利害を束ね、敵国の思惑を見抜き、ただ一言で戦役の方向を定めた男。と。
だが、その大半は誤解である。
確かにクラウスは名門ライフェンベルク家の嫡孫にして、陸軍高等軍学院主席、若くして統帥府(参謀本部)に配属されたエリートだった。
とはいえ本人に言わせれば、ただ試験の点が良かっただけで、戦場を切る直観も決断力も野心もない。
あるのは、人の話を最後まで聞く忍耐と、怒鳴られたくないという切実な願いだけだった。
会議で意見を求められれば、なるべく穏当なことを言う。
揉めそうな議題は、欄を分けて別の紙にする。
怒られそうな言葉は、怒られない言葉に替える。
それだけのことを繰り返していたはずなのに、
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- ★★★ Excellent!!!組織が稼働するにあたり発生する摩擦をまざまざと見せつけられる名作
分かりやすい無能が全然いない&みんな自分たちの職分を全うしようとしているのでめちゃくちゃストレスがない。あ゛〜良〜。
当たり前だけど、軍人って職業は根拠が無ければ行動できません。
「上の言いたいこともやりたい事も分かる。でもこんな文章根拠に動ける訳ねぇだろこのア ー検閲済」
みたいな状況の寄合い所帯の連邦国家で、自らの権限の中で出来るだけ何とかしようと努力している軍人たちが、あーもうどうもならぬと諦めたくなった所にスッと効く清涼剤みたいな主人公の折衷案。あくまで不合理だけど、組織としては必要な人材っているよな〜を具現化したような存在。それが今作の主人公。いいゾ〜これ - ★★★ Excellent!!!優秀なれど天才には遠く及ばない。そんな彼がなぜ歴史に名を遺したのか?
ノルトマルク連邦の歴史書において天才参謀と記されるクラウス・フォン・ライフェンベルク。普段は沈黙を保ちながら、ただの一言でその場の趨勢を決定づける思慮深さの持ち主……などと書かれているが、実際の彼はどのような人物で、どのようにして歴史に名を刻んだのか本人の視点から描いていくのが本作品である。
結論から言うと、我慢強いうえに怒られるのが嫌なので口数が少なかったというだけのことである。つまり勘違いで周りから評価されていくパターンのやつね……と思いきや、微妙にそういうのとも違っていて、このクラウスという男、とにかく調整が上手い。会議の中で派閥間の意地やメンツがぶつかり合い、角が立ちそうになる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文官が齎した些細な機転がやがて連邦の戦争形態を少しずつ変革していく
29話時点では主人公クラウス大尉がいわゆる軍師無双をする訳では全くない。
19世紀レベルの近代文明の中、彼がただただ現場の軍人達に怒鳴られたくない一心で捻り出していく提案が、やがて彼の所属する連邦という古き体制へと少しずつ、確実に変革をもたらしていく物語……なのかなと現段階では感じる。
最前線に立つ将兵ではない士官達の政治的闘争の見せ方が良い意味でドライであり、戦争とはたった一枚の紙で多くの兵士を死に至らしめ、逆に生かすのだという皮肉と現実が緻密に、濃厚に表現されている良作。
とにかく細部に至るまで描かれるリアリティと情景描写、主人公や相棒の少佐、敵国の少佐らの心象描写が丁寧で小説世界に…続きを読む