「キャリアデザイン研修」という前向きな題材を使いながら、その内側にある薄情さや疎外感を非常に正確に描いているのが印象的でした。顔も名前も見えない参加者、完璧すぎる司会、正しすぎる講師の言葉。どれも現実的だからこそ、受講者の実感が置き去りにされていく感じが強く伝わります。特に良いのは、劇的な決断ではなく、ごく小さな「保留」の選択で終えるところです。働く人間の摩耗と、そこから自分を守るためのささやかな抵抗が、静かに残る短編でした。
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