グッナイ・バード

山へと続くなだらかな坂道は

綺麗に整備されたドライブウェイ

歩道を行く人はほとんどいない

鈍色にびいろに広がる雲

風には少しだけ春の気配


民家が間遠になると

いよいよ人影もなく

白い箱に収まったきみと

異世界を歩いているような

夢路となる


枯木のアーチをくぐると

雪が舞い始めた

なごり雪だろうか

ひとり言



きみを託したおごそな建物を振り返ると

不意に日が射してきた

その光の中

きみとの最後の散歩道を

ひとり帰る


下界の沿道の植樹帯は

冬の前に剪定されたのか

てっぺんが平らなまま

けれども

そのうち

春の訪れとともに

早緑さみどりの新芽が

自由に

元気に

伸びてくるのだろう


~~~~~~~~~~~~~~~


朱色の尾羽と

シルバーグレーの翼

黒い瞳と

「ありがとう」の声


DNAに記憶された

深い緑の森

野生のニオイの

熱帯の森


生まれる前に

仲間と暮らしていた

アフリカの夢

見ることが

できればいいね


バイバイ・マイ・バード


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/822139838796909865

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詩小説~秘密の花園 紅瑠璃~kururi @rubylince

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