「詩小説」には、むろん私小説が掛かっているのでしょう。作者のユーモアセンスが光ります。第5話まで拝読しましたが、なかんずく出色なのは、第4話の「昏睡の森」。昏睡の宇宙の中で、もがき苦しむ男が、希望を求めて夢想するショートストーリー。全編に渡って、ポエジーが噎せるほど薫り立ちながら、詩と小説が螺旋のように融合しています。他に類を見ないオムニバス。