心配するな、みんなプロ作家になれる

スヒロン

第1話 心配するな、みんなプロ作家に成れる

いいか、実はとんでもなく簡単な方法があるんだ。

作家になりたい。

漫画家になりたい。

役者になりたい。

誰でも子供の頃、思うことだ。


ごく簡単だ。

「成れるまで、諦めないこと」

実はこれだけなんだ。

おい、ガックリするなよ。

「なんだよ、精神論の根性論か」と思うか?

そうだ。要するに95%までは根性論なんだ。


言っておくが「根性論、精神論」って言葉に拒否感があるのは、日本人なら大抵が

そうだろうが、この言葉を否定できるのは「最低限の精神力」がある人間だけだぜ?

プロ野球のバッターはみんな素振り500本なんか当たり前で、イチローは高校時代「寝る前に必ず10分の素振り」をやっていた。部活での全体練習を終えて、ヘトヘトの状態でだ。

素振り10分間というと200回くらいになるらしい。

十代でピアノやバイオリンの世界コンクールを取る子たちは、みんな毎日10時間くらいやってるんだが、多分その子らは練習のことを「努力」と思ってない。

ただ、好きだから難しい練習も楽しいんだろうな。


ちなみに「一万時間でプロ」の法則はウソだ笑

ピアノ、バイオリンの化け物たちは軽く2万時間を超えているそうだ。


そこへ行くと、俺達はただまっさらな紙の上でワープロで物語の神になって、好き勝手に人を戦わせたり恋愛させたりするだけ。

というか、気に入らない上司を殺してもいいんだ。

楽勝だろう?


俺はかなり前にどうにかこうにか受賞して「呪術法律家ミカヤ」というラノベを書店に置くことができたんだ。

だが今考えると・・・「タイトルが覚え辛いなあ」と思うんだよw

魔法を使う弁護士のヒロイン物だが、暗殺者のアイスフェルドをもっと推せば良かったと思うぜ。


で、そこから俺はありがちな「俺が本当に書きたいものは、なんだろ病」にかかってしまったんだ・・・これは役者のムロツヨシも罹患していたそうだ。

「どうでもいいから、プロになって印税が欲しい。数打てば当たるだろ」と思って月に一本応募してた頃の方が、遥かに純粋な気分で作品を書けていたよ。


「私のオリジナリティ」の部分は必要だし、あるのが当然だ。けれどずっと「俺の本当に書きたいものはなんだろ病」に罹患したままだと、肝心の「読者が楽しいか」の部分が抜け落ちるぜ?


さて、ただの精神論を色々と書いたが、「必要な精神力」が足りてないお前らには良い養分になっただろう?


事は簡単だ。

金。性欲。食欲。名誉欲。

承認欲求とかいう超下らない言葉を考えたアホのアドラーをコケにするのもいい。

なんでもいいから、作家に小説家に、漫画原作者になりたいんだろう?


たかが夢だ。寝てる時は、夢が無いヤツでもみんな見ている。

俺達は、起きてる時もそれを見てるだけだ。

もちろん目を覚まして日常に帰るのも、お前の自由なんだぜ?

その方が幸せだろうが、確実に今よりも楽しい人生が待っている。


お、目が覚めて諦めた奴らは日常へ帰ったようだ。

さあ、ワープロ世界で神になるんだ。

俺達はもう、まっさらな紙の上からは逃れられないんだ。

諦めることを、諦めろ。


                               終わり

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心配するな、みんなプロ作家になれる スヒロン @yaheikun333

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