詩的なフレーズが繊細に表現されていて、目を奪われました。余白や影といった、一般的には主役でないものに焦点を当てて、独特の現代的な世界観を構築しています。なかんずく、「このあいまいな余白にこそひとがひとであり続けてきた安らぎと腐敗臭を感じているから」という言葉の連鎖には、脳を掻き混ぜられるような耽美性を感じました。心の余白に染み込んでくるような、抒情性あふれる現代詩。
ずっと心のどこかで燻っていた感覚が、言語化された気分でした。きっと読んだ人はみなそれぞれの 余白 がそれぞれの 余白 のまま映し出された。そんな気分になったでしょう。ぜひ、この感覚に皆さんもなってほしいです。
私のつたない読みで、作者の影をとらえてるかは、わかりません。「この余白」に生きていくしかないけれど、醜かったり汚かったり忌まれたりする余白にすがることは重い。と読む人が、いました。私以外の人が、また違った読みをしますように。
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