バケバケ森のバケ学校に通う、たぬきの子ども、たぬたぬくん。
人間のことを学びに、人間の子どもに化けて村へ…。
タヌキやキツネが化けて人間に混じる物語は、よくイタズラをして揉め事に発展したりしますが、この物語は違います。
タヌキと気付いていても、いなくても、新しい仲間を気遣って、仲良くなろうとする子ども達。
たぬたぬくんと子ども達の交流を、温かい目で見守る大人達。
そんな温もりのある世界が描かれている物語です。
しかし、この物語は、ただのかわいい物語として書かれているものではありません。
小さい子どもが読めるように、漢字表記や表現に配慮して書かれた、児童小説。
そのように大変な手間をかけて書かれている意味は、おそらくは作者様が、目に見えないものや昔からの行事ごと、自然と共存する生き方を、子ども達が知り、受け入れ、失くさないで欲しいという願いが込められているからだと思います。
ほっこりと優しい気持ちになりつつも、日本人が失くさずに持ち続けていたい、そんな心のこもった作品です。
お勧め致します。
1分ではもったいない。
とっても優しい物語。
たぬきのたぬたぬくんが人間の子どもたちと心を通わせていく過程を、短い文章ながらとても丁寧に描いていらっしゃいます。
最初は不安や恥ずかしさから一歩をふみ出せなかったたぬたぬくんですが、子どもたちのさりげないやさしさにふれ、勇気を出して仲間に加わります。勇気を出せる、その雰囲気を子どもたちが作っているのがなんとも優しい。
相手を思いやる気持ちや、見た目や違いにとらわれずに受け入れることの大切さが伝わってくる物語です。
子どもたちの行動が大人たちにも認められ、やさしさが自然と広がっていく様子は、とても温かいです。
大人も、このような視点を見習うべきです。