勇気とやさしさの化け学校――秋風のように優しい童話
- ★★★ Excellent!!!
童話『たぬたぬくんはたんたんたぬきのこ』を拝読し、心にぽっとあたたかな灯りがともるような読後感を抱きました。たぬたぬくんが、化け学校での練習や花乃ちゃんとの友情を通じて、少しずつ「自分らしさ」と「受け入れられる喜び」を知っていく姿は、まるで秋のやさしい風に包まれるようです。
おみこしのおじいさんや、秘密を分かち合う静かな約束の場面は、童話らしい不思議さと安心感に満ちていて、“異なるものが寄り添い、心を通わせる”という願いが、静かに語りかけてくるようでした。たぬたぬくんが感じた小さな勇気や、花乃ちゃんの手のぬくもり、そしてみんなと笑い合う時間。それら一つ一つが、読む人の胸にも優しく触れ、日常の中で忘れがちな「共にいる幸せ」を思い出させてくれます。
人と自然、違いを越えて寄り添う心を描いたこの物語は、子どもにも大人にも優しく響く一篇です。ぜひ、秋の夕暮れに読んでみてください。