補足:若年層自殺事案に関する調査報告書(抜粋)②

三、訪問記録(抜粋)

 A県グループ

 グループの共通点:〇×大学の学友

  氷川 和利 (ひかわ カズとし)(男) 7月某日 縊死

  富山 京花 (とみやま キョウか)(女) 7月某日 縊死

  津村 みさと(つむら ミサと)(女) 7月某日 縊死

  泥堂 章大 (でいどう ショウタ)(男) 7月某日 事故死


 B県グループ

 グループの共通点:動画配信グループ

  田池 一哉 (たいけ カズや)(男) 8月某日 入水

  唐澤 京也 (からさわ キョウや)(男) 8月某日 縊死

  楽冨 サヤ (らくとミ サや)(女) 8月某日 縊死

  四日市 将汰(よっかいち ショウタ)(男) 8月某日 縊死


 C県グループ

 グループの共通点:同じ会社

  都築 香月 (つづき カズき)(女) 9月某日 電車への飛び込み

  柴藤 亜美紗(しとう あミサ)(女) 9月某日 入水

  沼田 水晶 (ぬまタ ショウ)(女) 9月某日 縊死

  肥田 響呼 (ひだ キョウこ)(女)※行方不明


肥田は他の3名の死亡後も生存していたが、自殺ではなく突然行方不明となった。警察は友好関係の深さから注視していたが、前兆ぜんちょうなく失踪しっそうし、現在も所在不明である。


 D県グループ

 グループの共通点:高校からの知り合い

  冨澤 和明 (とみさわ カズあき)(男) 10月某日 転落死

  月岡 己沙雄(つきおか ミサお)(男) 10月某日 縊死

  出口 昇太 (でぐち ショウタ)(男) 10月某日 縊死

  高梨 祐太郎(たかなし ユウたろう)(男) 10月某日 縊死


四、考察

 本事案においては、複数の自殺事案において、構成員の呼称こしょうが一致していたという点が特筆されるが、これが偶然の一致である可能性も排除しきれない。

 一方で、呼称の一致、死亡順序の類似るいじ、手段の共通性等、複数の要素が重なっていることから、何らかの外部要因がいてきよういん、すなわち集団自殺を誘発する情報媒体じょうほうばいたい、都市伝説、あるいは心理的影響を及ぼすコンテンツ等の存在が疑われる。

 これらの要因については、現時点では具体的な証拠が得られていないものの、今後の調査対象として慎重に検討する必要がある。


五、結論

 上記の考察に基づき、現段階においては、各事案間の関連性を立証するに足る証拠が存在しないことから、これ以上の調査を継続することは困難であると判断する。

 よって、本件に関する一切の記録は、202X年11月末日をもって封印し、以後の調査対象から除外するものとする。


分類:内部資料/閲覧制限あり

報告者:警察庁 特別調査課 戸川 雄生(とがわ ユウ)

(了)

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ありふれた肝試し 犬神堂 @Inuzow

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