変質者よりもタチの悪い、女子トイレに巣食う悪霊
- ★★★ Excellent!!!
獄門摩擦太郎! この名前で「何か」を感じたならば、きっとその予感は当たっています。
主人公のサユリは、クラスの中心にいるギャル「ジュリさん」から言われ、肝試しとして女子トイレに行くことになった。
その先で、トイレの便器の中から「獄門摩擦太郎」なる霊が出現することに。
どうやらこのトイレ、かつて刑場だったところに建てられてしまった模様。だから女子トイレに出没する霊だとしても、「自分の方が先にいた」ということで、獄門摩擦太郎さんは変質者ではないらしい、ということまでがわかってきます。
とにかくこの、サユリと獄門摩擦太郎との掛け合いが最高に楽しいです。
霊として長く存在し続けていたため、「現代の言葉」にも詳しいらしい獄門摩擦太郎。その結果「チョベリバ」や「ぎゃふん」などの平成や昭和の死語すらも使いこなします。
ランプの魔神のように、サユリの力になるようなことを言い出してくる獄門摩擦太郎。だが、言うことは名前と同様にいちいち物騒。サユリはそれに不安を覚えます。
こ、こいつ。どう見てもただ暇でしょうがなかっただけなんじゃ……!?
ハイテンションで大時代的で、更に暴走気味な怨霊。それと遭遇してしまったサユリは、そしてジュリさんの運命はいかに!?
とにかく魅力的な「濃い」キャラが面白く、ニヤニヤ笑いながら最後まで読ませてくれる、非常に楽しい作品です。