自由奔放な旅をしよう。

Ferrum

第Ⅰ話「敗戦記録」

俺は、敗北した。

そう言い切るしかない。

将棋で例えれば、俺は歩兵。

生きていたのにも関わらず、王手を取られてしまった悲しき兵である。

生きていただけ、王に助けられただけだ。

いや、女王とでも言おうか。

俺が失った友人は、白い長髪の赤い目をした少女だった。

今は落ち着かせてほしい、頭の整理が付かなくて、彼女の名前を忘れてしまったんだ。

大事だったはずなのに、どうしてだろう?

悲しいから?苦しいから?思い出したくないから?

彼女の姿像は見えているのに、彼女の名前を思い出すことは出来ない。


俺の名前は山田水座。

ネットではゴキブリの愛称で呼ばれているゴキブリ好きの少年だ。

今は16歳で、専門学校に通っているよ。

なんの専門かって?

まぁ情報系の学校だよ。


自分は昔から想像力が豊かで、オリジナルのキャラクターの絵を描いて、創作物語を創るほど楽しんでいた覚えがある。

というか、それしかすることがなかったのだが。。。

まぁ俺の中学時代のことなんて、掘り返したって面白味なんてないので、ここらへんでしまいとしよう。


それはそれとして、唯一とも言える友人を失ったのはとても悲しい事である。

今、読者は急に俺が話を進めていて、混乱していると思うので、ここで事の詳細を話すとしよう。


俺には歳が七も離れた友達がいた。

その友達は軍服をきっちりと着込んで、毎度朝3時に戦場へと旅立つ。

普通の人であれば、そんな子がいるなんてありえないと否定するだろう。

親が裕福で、どこか遠い所に旅行しているだけだろうと否定をするだろう。

だが俺はそんな彼女を否定せずに、しっかりと信じて彼女が生きて帰ってくる事を願いながら毎日を過ごしていた。

毎日3時に出て、23時頃に俺の家に来る。

眠くないのかなとも思うが、環境を考えれば仕方がないのだろうと考えて、家に帰るたびに俺は敢えて何も喋らずに寝かせてあげた。


ある日の朝に玄関にピンポーンとチャイムを鳴らされた。

この日は珍しく軍服を着た彼女が帰って来なかった日だった。

少しだけ、嫌な予感を感じながら扉を開けると、段ボールの箱を持って軍服を着た細身の男性が私の目の前に立って、私を見るなり言葉を放った。


「○○はFreiheitの為によくがんばりましたよ」


と言い放ち、私にその段ボール箱を渡した。

何か、どこかで聞き取ったことのある言葉。

聞いたこともないのに、何か聞いたことがある。

ちなみにだが、Freiheitは俺の住む国の名前である。

自由を尊重する、いい国だよ。

もう一度話を戻すとしようか、私はその箱を受け取ると、直ぐに開けた。

小さめの軍服と弾丸の入っていないルガー、刃の折れたナイフ。

これはあの子が俺に見せてくれた物だ。

間違いない、これは彼女の遺品だ。

これは死んだ兵士の遺族に死したことを伝えるものだ。


つまりは、"彼女は死んだ"。

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