■■県■鹿郡大字 ■■ダムの事

吉高 都司 (ヨシダカ ツツジ)

第1話

■■県■鹿郡大字 ■■ダム 沿革


昭和60年9月  ■■市■っ■町「現在■鹿市・■万■市合併」議会にて■■ダム建設全会一致にて可決

昭和65年3月  ■■市■っ■町■字■■村移転に向け全村民移動開始

昭和65年10月 ■■により一時移転停止

昭和66年5月   移転再開

昭和66年12月 当該■■村移転完了

昭和67年4月  着工

昭和67年5月  一時停止 建設省「現国土交通省」査問開始

昭和69年3月  着工再開

昭和70年4月  施工

同年        遺物出土の報告があるが後に誤報とわかる

昭和71年6月  台風12号「通称・東西日本縦断台風」により、建設中のダムが決壊し死者20名、行方不明者5名を出す事故発生

同年         事故原因究明調査の為工事中断

昭和73年    調査及び復旧完了工事再開

昭和77年    旧村民による、裁判提訴

昭和78年    ■鹿市・■万■市議会全会一致により中止決定


第三次世界大戦により当該ダム建設計画は白紙となる


平成5年     当該ダム跡地にて発掘調査開始

平成6年10月  遺物出土

同年       帝国■■■■大学調査班により調査開始

同年       当該調査班に総務省・厚生労働省・国防省・内閣省合同チーム参加

平成7年12月   ■■■共和国国防省■■■■・R・■■■氏により調査資料の一部が持ち出されたことが発覚、これにより、隣国による干渉と国際連合安全保障理事会「国連安保理」に提訴


通称、第四次世界大戦危機により世界を震撼させる


令和元年8月    当該ダム旧建設現場付近にて遺物の紛失発覚

令和3年5月    ■■県■鹿郡大字 ■■ダム工事再開の発議

令和4年      当該ダム着工

令和5年      施工開始

令和6年      当該建設現場より遺物出土

同年        建設中止運動により中断

同年12月     着工再開

令和7年      「零和大震災」により建設中のダムが倒壊、死者行方不明者100人を超す大惨事となる

令和8年4月    帝国■■■■大学調査班遺物調査開始

同年        当該調査班全員行方不明となる

同年        総務省・厚生労働省・国防省・内閣省合同調査チーム参加

同年        当該調査チーム全員行方不明となる

同年        捜索開始

令和9年5月    当該ダムの建設中断全会一致により決定

令和10年4月   当該ダム推進派の市長当選

同年        ダム推進派・阻止派による大会議

同年        遺物発見


以降記録なし


同年

鹿市・■万■市 合併市及び■■県■鹿郡大字 ■■ダムの記録の一部が紛失した。当該ダム関係者及び全市民が一夜にして失踪、行方不明、現在もなお調査中。



【ある報告書】

昭和70年3月■■日


■■建設 社員№25〇〇〇番 ■■次郎


・・・・・・前回報告いたしました通り、工事図面■■■番の当該場所から物が出土しましたのは間違いありません、現場にいた■■■工事主任・■■班長共に現認いたしました。当該の物は現場にあった適当なブルーシートに包み運搬用ケースに入れ、事務所に保管しておりました。ただ、現場の職人、社員があまりにも気味が悪いから、事務所に置いてくれるなと、クレームが相次ぎ、仕方なく物置に保管する事にしました。ですが数日後物置を確認しに行ったところ、ブルーシートごと無くなっておりました、特に警察に届けるべきものでもないものと認識しておりましたので、特にその後は捜索等はしておりません。ただ、これも、気のせいだと思いますが、事故が増えたような気がします、いえ、統計を取っていた訳ではありませんが、体感的な物です。・・・・・・・


(株)■■■工業 社員 ■■肇


・・・そうです、あれを掘り当てたのは私ですが、いや、もう思い出したくもないですね。見るからに、生理的に気持ちが悪い受け付けない、そんな感じな物でした。とにかく人を呼んでブルーシートに包んで、視界から遮りたい一心でした。一旦事務所に置いておいたみたいですが。いや、近づきたくはなかったですね。その後それがどうなったかなんて気にもしてませんでした、いや、したくなかったですね。・・・



有限会社■■■建設  職人 ■■■博


・・・いや、気の毒に、あの悲惨な事故はあれが出たからだと専らの噂って聞くよ、一番近かった彼、■■■工業の肇ちゃんなんか本当に気の毒でね、良い奴だったのに・・・。あれさえ出なかったらと思うと。いや、やるせないねえ。・・・



【■■新聞ヘッドラインニュース】


国防軍大本営発表


昭和80年5月某日付 本国は■■■国■■国より宣戦布告を受け、■県■県■県国際港湾、国際空港、港湾、および各核施設、および■県海岸10キロ地点よりミサイル攻撃を受け、首都、副首都が壊滅状態となる。

国防軍全軍を上げ反撃開始。



昭和82年5月某日付 国連による仲介を打診、■■良寛国連全権大使国連へ向け出発国民の期待を背負う。



同年12月某日付    ■■国の■県■県奪還、■■■国■基地■基地壊滅、本国■■■県県民完全退避完了。



同年         各国に戦闘が飛び火する。

昭和83年4月某日付け 和平交渉成立。ただ、他国での戦闘状態は継続中。



同年5月   戦勝を記念し年号を昭和から平成とする旨閣議決定。




【ある映像記録】


「映像№5」

平成10年撮影とタイムスタンプあり


男女の調査員らしき人物が山中を上っていく後姿、何か喋っているようだが音声が聞き取れない。息が荒い。ある開けたところに出る。映像が切り替わり、発掘現場らしく、切り取られている地面に、ナンバリングされたカードが置いてある。女性調査員がそのナンバリングされた札を指さす。場面が切り替わり、今度は薄暗い洞窟のようなところから始まる。相変わらず、音声は聞き取り辛い。画像の露光状態が悪いのかほとんど影のような状態。何かを手に持ち説明をしている。音声が途切れ途切れとなり、画像も途切れ途切れとなる。再び、発掘現場から映像は始まる。暫く女性が先程のナンバリングされたカードが置いている場所の一つ一つについて、何か説明しているようだが、音声は不明瞭。暫くすると画像が少しづつ揺れ始め、画像の天地が逆になり、衝撃音とと共に衝撃を受けたように画面が激しく揺れ、そして画面の上半分が地面を映しあと半分は目標の無い空を映して画面は固定された。先程の、説明をしていた女性の調査員が、画面の奥から走って現れ画面に近付いてきた。が、近づくに従い何かに怯えるような叫び声に変わり画面を飛び越え走り去った。暫くすると人の声とは思えない様な叫び声が続き、時間が経つにつれその音量が小さくなりそして何も聞こえなくなった。

画像は何も変わらず、やがて何の前触れもなく画像は終わった。



【流出した当該事象にかかると思われる、ある資料】

平成不明年

出所不明

記録の詳細不明

■■■■■■による、調査対象物は■■■■の■■■によってその事象は無効となる、■■■■が■■■■による■■■■なのかどうなのかは意見が分かれるところであるが、サンプルを■■■■と■■■■調査機関に送るので調査してほしい、■■■■と■■■■は失踪して行方不明となった、近々私も・・・(以下欠損)・・・からこれには関わってはならないと上層部には掛け合ったが好転しない、そこで■■■■大学■■■■に尋ねて欲しい。そこで・・・(欠損)・・・世界を巻き込みかねない



【■■■■新聞切り抜き】


平成12年8月付

・・・・・・・・■■■■国船籍豪華客船、「ネオ・■■■号」沈没

乗客、乗組員全員行方不明現在も調査中。

乗客には世界長者番付のメンバー及び■■■■国元首一行が複数人乗船していた模様。


同年10月付

・・・・・・・・豪華客船、「ネオ・■■■号」沈没続報。

貨物の中に東アジアからの荷物が無登録で搬入されていたとの情報があり、テロとの関連性が指摘されている。


平成13年1月20日付

・・・・・・・豪華客船沈没事故国際問題となる。

くだんの沈没事故に関連し、■■■■国が東アジアとの国交断絶を通告、大使館員、駐在員他駐留国民を退避させる旨通達。


同年2月1日付

・・・・・・・豪華客船沈没事故事変続報。

■■■■国が国連にて当該事故を明らかな敵対行為と名指しで批判し、国際紛争を招いた各国に対し期限付きの武力紛争解決を決議宣言。


同年4月23付

・・・・・・各地で武力衝突が発生


平成14年9月3日付

・・・・・・・国連平和維持軍、派兵により武力衝突が限定的となる。


同年12月1日付

・・・・・・・■■■■王国、■■■■共和国国仲介により和平条約締結。


これらの事象を第四次世界大戦危機と呼称する。



【ある音声データ】


令和2年某日■■■■新聞社に投函されたもの。

平成10年以後の頃のものと思われるが詳細不明


「・・・・であるからして、積んだ覚えのないものが、出てくるのは何かしらその事柄に対し思い違いの他、原因があるはずがない。先だっても積んだ覚えのない荷物で、世界を震撼させる事が起きた事も記憶に新しい事だ。■■県■鹿郡大字 ■■ダムから出土した物は今どこにある?誰も知らないだろう。調査チームが極秘裏に結成され、そして誰も居なくなるなんて全員失踪なんてありえない。触ってはならないものに触ってしまったんだ。我々は。悪い事は言わん、手を引け、今なら間に合う。今なら・・・・」



【ネットニュース】


令和10年4月29日付


・・・・・により、当該市全域を立ち入り禁止区域とし、緊急事態宣を無期限で発令した。この条項により、付近3キロ圏内上空を含む地域の一切を立ち入り禁止とした。

・・・・以前より、この地域にはダム建設が計画されており、そこから出土した「何か」により様々な憶測を呼んでおり、先の大戦もこれに起因する節があると唱える識者も少なからずいる。政府は、この見解は一切認めておらず、原因は調査中を繰り返すばかりである。■■■■大学教授■■■■氏によると・・・・・・




【終焉】


青空にポツンとそれは浮かんでいた。大地には人の手が掘り返した後の、山を削った後の山肌が露になったところを見ていた。

目と言うものがあるのならば、それがそうなんだろう。

ゆっくりそれは降りてきた。掘り出されたそれぞれをゆっくり搔き集め、そして、今まで己が取り込んだものを我が血肉にした。

また、新たに搔き集めた人の。

いや、もと人であった者たちの断末魔が響き渡った。が、無人になった市内、市外では誰もそれを聞くことは無かった。

そしてそれはゆっくり胎動し始め、ズルリズルリと動き出した。

止まることなく。ゆっくりと。  了

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