その新聞記者は日常の片隅に目をとめる。渋みのあるお仕事ミステリ
- ★★★ Excellent!!!
名古屋駅やその周辺、再開発の波、「中区三の丸」といった具体性や新聞社の様子など、とても詳細に描かれていて驚きました。レトロ喫茶での会話も、口調に地元感があって良いなと思いました。
そんな現実と地続きの舞台、主人公の川島はとあるニュースに違和感を覚える。
華やかさを増す街や、派手な特ダネを求める世間に、影や小さな声といったものは容易く見落とされ、掻き消されてしまいます。
しかし、川島はそんな小さな違和感や変化にこそ目をとめ、闇の中から真相を炙り出していきます。
静かに、だけど確かに燃える炎。
その炎は薄暗い地下を照らすことができるのか。周囲を巻き込み、大きく燃え上がることができるのか。
そんなことを思いました。