このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(165文字)
異なる時間を生きるというのは、余りに切ない。けれど、そこに留まるのではなく自らの選択を受け入れて、立ち上がる姿が気高くて印象的でした。天女の心の奥底で、その背を押したのは何だろうかと、考えさせられる美しい余韻を持つ物語です。
孤独と愛の切なさが美しく描かれた物語です。天女が人間との間に築いた幸せとその儚さは、なんとも切ないですね。時計台の怪異が、天女の内面と密接に関わっており、物語全体が静かな哀愁を帯びさせるあたりは、作者様のテクニックを感じます。これ感覚だけで書いてるとしたら、すごいなと思うのですが、おそらく構成を考えられて書かれたものだと思いました。綾ノ丞の言葉により、天女が前向きに変わろうとする姿は、非常に印象的です。最後の鐘の音が希望の象徴なのだと思います。幻想的でありながら深い人間ドラマが感じられる作品です。
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