「実は自分はお話の登場人物で、未来は決まっている」
こんな辛い状況で、実は主人公は未来を知るアドバンテージを持っていて。通常ならば。
本作で未来を知っているのは、「流コメ」つまり動画配信で流れる字幕コメントを書き込む視聴者。
主人公に未来は未来を知りません。視聴者(と思われる何者)から、無知で脳天気と笑われるばかり。あなたがそんな立場なら、腹が立ちませんか?
主人公は宣言します。腹が立っただけで終わらせません! なんとしても生き残るのです。いや、愛すべき人の、家族の、皆の命も安全も守ります。
欲張りすぎ? そう問われても主人公は止まりません。良家の娘でありながら、知略を尽くし、身の危険も顧みず、立ち向かう姿は凜々しいです。
類は友を呼ぶ。凜々しい娘の隣には、相応しい凜々しい殿方が。女性の夢を体現した男性が主人公に寄り添い、時には離れても身を案じ、互いを思い助け合います。
運命とは、上から見下ろす存在が書いた脚本の如きもの。地上の人間を嘲笑い口だけ出すのなら、人間は意思によって未来を切り開いてよいのです。
本レビューでネタバレはしません。本作の結末に、レビューアーはアッと言わされました。
未来は、自分で変えてよいのです。
主人公・沈秋音は、第三皇子である景澄と婚約関係にあるのだが、それは本人が望んだものではなく、皇帝の命令によるものだった。
さらには、彼女の頭上に流れる不思議な文字(コメント)。
その内容は彼女に対するアンチばかりである。
そんな流コメの言うことには、秋音は夫に愛されず、幸せになれない……。
しかし秋音はめげることなく、そんな不幸な運命を変えてやろうと、婚姻関係を円満に解消させるため景澄に和離を持ちかける。
景澄は良縁を持ってくることを条件にしぶしぶ承知、こうして二人は期間限定婚を結ぶことになるのだが……。
秋音は果たして、物語(話本)のような愛を見つける事ができるのか!?
栗パン様の描く中華×宮廷ロマンス!
秋音と景澄、二人の主人公がケンカをしたり理解を深めたりする中で、初めはギクシャクしていた心の距離感が少しずつ縮まっていく展開は、とてもキュートでドキドキさせられます!
さらには地方の都で起こった災害への救援をきっかけに、物語は政府を含めた大きな問題へと発展!
このダイナミックな展開、ワクワクが止まりません!
また、様々な登場人物たち……侍女の小青、第三皇子たる景澄の七人の侍衛、秋音の兄・沈言、そして威厳がありながらも茶目っ気たっぷりの皇帝陛下。
彼らもまた心を持って行動します!モブなんて一人もいないのではないか?そう思えるほどに魅力がたっぷり!
コメディとシリアスのバランスが神がかった傑作を、是非ともご一読ください!!!
主人公秋音は第三皇子景澄の元に嫁ぎます。皇帝の意も汲んだその婚姻を断ることは出来ない。この時代、結婚とは政治なのです。
でも秋音は景澄に切り出します。この婚姻は期間限定だと。
押しつけられた愛などいらない。愛は自ら求めるもの。同時に皇子妃としての役割をないがしろにはしない。秋音の戦いが始まります。
一方で、景澄は幼い頃から秋音のことを愛していた。その想いは純粋で尊いもの。でも彼もまた気づきます。愛とはただ自分の思いを一方的に押しつけるものでは無いことに。
二人がたどり着く真実の愛の姿とは。
二人の愛の姿を縦糸に、人の悪意や欲望、善意など、様々な思いが渦巻く宮廷政治を横糸に、重厚な愛の物語が紡がれます。
中華文化に詳しい作者さんならではの絢爛たる中華ファンタジー、是非ご一読を。
斬新な設定に一気に引き込まれた。主人公の視界に流れる「コメント」というメタ要素が、古典的な宮廷ものに現代的な面白さを加えている。
政略結婚なのに「期間限定婚」を提案する主人公のキャラクターが最高に魅力的。おとなしい古代の女性像を完全に覆す、現代的で自立した女性が宮廷でどう生きるかが見どころ。
三皇子も最初は典型的な美形キャラかと思いきや、物語が進むにつれて意外な一面が次々と明かされていく構成が秀逸。特に料理を作るシーンや、猫まみれになるギャップが愛おしい。
コメディ要素とシリアスな宮廷の権謀術数のバランスが絶妙で、笑えるのに緊張感も失われない。続きが気になって仕方ない作品。
中華風ファンタジーが好きな方、新感覚の宮廷ものを求める方に特におすすめ。
三皇子・景澄と彼の元に嫁いだ秋音の、結婚から始まる恋物語です。
秋音は、決められた相手ではなく自分が見つけた人と互いに恋焦がれるような恋愛をしたい、と思い円満離婚をしたい(!)と申し出ます。ですが、景澄は噂に聞いていたような冷酷な人ではなく……。
とにかく景澄の愛が深くて大きい!
今のところ秋音には、まだその一端しか伝わってないかもしれませんが……。宮の中で巻き起こる様々な出来事とともに近づいていく恋心。
中国の宮廷や文化に関する描写も詳しく、作者さまの博識さが窺えます。
そういうのわかりづらいなー、という方もご心配なく。
ちょくちょく流れてくるコメントが軽く解説してくれます。
今後の展開も楽しみにしています。