素敵な時間
@nayuta_na
第1話
好きな人に会えるという時、その1週間前、前日、12時間前、その時を想像して、不思議な気持ちになる。
それが始まった時の自分はどうしているのだろうか、今想像している自分は自分なのだろうか、楽しみが気持ちを追い越して、仮想の現実を作り上げる。匂いや緊張、感情、まるで現実かの様に体感する。今はまだ、それらの出来事は起きていないのに、まだか、まだかと、心が気持ちを追い越していく、それは現実でないのに。
こんな事が何度も何度も繰り返されていく、それらはいつの間にか現実になり、過去になっていく、そしてまた仮想の現実を夢見る。現実は一瞬だが、仮想は無限とも思える時間なのだ、なぜなのだろうかと現実に問いかけても答えは帰って来ない。この気持ちは抑えられない。苦しいほどに早く時間が過ぎることを願うばかり。早く過ぎろと願う時間は鬱陶しいほどに長いのに、長く浸かりたい願う美しい時間は驚くほどにあっという間なんだ。
でもきっと、長く待たされる時間が時を早める。強く愛する気持ちが、強く願う気持ちが、時を早める。だから流れに身を任せて、その波に流されてもいいんだと思う。時に抗う事は出来ないのだから、きっと少しだけ、その流れの速い波が自分の気持ちの証明になるから。でもやっぱり、その波に争ってみたりする。
でもね、きっと、永遠とも思えた仮想の時間は消えていき、一瞬に思えた現実は過去となって残り続ける。長い時間は短くて、短い時間は長いんだ。そんな時間に出会えたらそれはとっても美しい事なんだと、僕は思うよ。
素敵な時間 @nayuta_na
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