「カクヨム短歌賞1首部門応募作品」

直喩の巧みさ、
音符やスラッシュなどの記号の楽しさ。
それらが相乗効果を生み出して、
優しさあふれる世界観を薫り立たせています。

3首目の下の句の、
「黙秘はYESじゃないねうさちゃん」は、
飼っている？うさぎへの優しい呼びかけが、
心に深く響いて、とても印象的です。

最後の5首目の歌は、
ひらがな表記だけで綴られていて、
さらに主語を捨象することで、
読者の想像をかき立てる工夫が見事です。

ホッとこころが優しくなる短歌集。

　短歌とは三十一という限られた文字数の中でどれだけの表現ができるかを昇華していくものだと思うのですが、サ行さんの短歌はその枠の自由さが、とても軽やかで良い。驚きと共に「いいなあ。」という想いを抱いてしまう作品ばかりでした。才能ってまだまだ色々なところに隠れているものだなあ、と。

　【わたしたち〜】のスカートの比喩表現はサ行さんの作風のようにふわりはらりと美しく、【気怠げな〜】は強い表現の中に「あるある」の精度も含まれている。

　で、私はこの一首を見て本当に驚かされたのですが【♩×♩（タンとタン）〜】は「やられたな！」と。四分音符で短歌を表現していいんだ、と思わず唸ってしまいました。サ行さ…続きを読む