本作はとある闇組織の掃除屋が、近未来的な異世界に転生を果たし、その世界の闇に触れていく重厚感たっぷりのファンタジー作品です。
巷の異世界系とは一線を画す、作り込まれた設定が魅力ですね。
このジャンル、(私みたいに)知識が生半可だと絶対書けないんですよね……。
科学技術、資源、文化レベル、固有名詞に至る全てを自分でデザインしないといけないのが、本当に大変で。
ですが本作は、その辺りの舞台設計がしっかりしてあるのと、それに応じた世界観説明が物語中でされるので、ふわふわした空気感にならずに読み進めていくことができます。
その一方で、小難しくなりすぎてないのもポイントですね。
設定解説を連発しないあたり、しっかりと構成を練っていらっしゃるのが伝わりました。
合間合間で挟まるおまけコーナーが、骨太な物語に良い意味でガス抜きになってくれます。
キャラとしては、やはり主人公の少年(但し転生前は子持ちのナイスミドル)が、渋くて良い味出していました。
ある程度精神面が老成したキャラなので、場面場面での主人公の挙動に違和感が無いと言いますか、いわゆる「若いなあ」みたいに読んでいて歯痒さを感じるところがないと言いますか。
近未来のハードコアな物語に興味があるのでしたら、間違いなくお勧めできる作品でした。
キャッチコピーを見ただけで、その属性の多さに驚かれると思います。
元々は地下組織で最強だった暗殺者。
拾い子を育てるうちに万能家政夫となりますが、襲撃を受け異世界へ転生することに。
もう、この時点でめちゃくちゃ魅力的な主人公ですよね。
転生先は、魔導科学と分散型技術によって運営される、中央集権から脱却した空中自由都市。
十歳の少年の姿になってしまいますが、中身は苦味ばしったハードボイルドイケオジのままです。
ポンコツ魔女のエリシア、情報屋の双子の少女達と一緒に、都市の崩壊を防ぐため、大掃除に着手することに。
洗濯、料理等のハイクオリティな家事をこなしつつ、自慢の刀で切って切って斬りまくります。
やがて辿り着いた都市の秘密。
彼が出した結論は如何に?
現代のAIと人類の今後にも通じる奥深いテーマは私達にも問いかけてきます。
これから世界とどう向き合っていきたいか。
考えるきっかけをくれる作品です。
是非、皆様も体感してみてください。
お勧めです!
元断罪屋、現家政夫が、家事無双とも言えるまさかの食材を強力な武器に変えて、バッタバッタと敵を薙ぎ倒す!
くまアップリケのエプロンを血に染めて——
そんな、シュールな世界観に君臨する主人公は、自分を慕っていた男の裏切り(?)で身近の大切な人々の命を奪われてしまう⋯⋯。
ハードな展開かと思いきや、ここで事態は思いがけない方向に主人公を巻き込んでいきます。
なんと、剣と魔法と、家事が交錯する世界へ転生(!?)
作者様のシリアスとコメディのバランス感が良く、一気に読んでしまいます!
程よい脱力感が心地良い、本作をお勧めします♪