ファンタジー風の用語に囲まれつつも、SFらしさの強い『螺旋状浮遊都市』を舞台に、『家政婦』であり『断罪屋』の仕事ぶりを描いた作品。
どこかファンタジー的要素も噛みつつ、どこか科学の行き詰った退廃的な描写は雰囲気十分。
主人公の生い立ちもハードそのもの。しかしながら、家政婦として料理をしたり洗濯物を気にしたりする日常的な姿のギャップはユーモラスで、ともすれば浮いてしまいそうなものだが、そういった要素すら取り込み、面白さに還元できている様は、これが『サイバーパンク!』と括りたくなる。
めくるめく濃密な世界観に、浸りながら、家政婦と断罪屋の二つの顔をもつ主人公の生き様、ぜひ追ってみてください!
裏社会の男。三十歳を超え、ボスの指図で剣を握る代わりに、雑巾と包丁を握る日々となる。十年後、組織が奇襲を受け交戦中に、四十過ぎた主人公が異世界召喚された。
血染めのくまのアップリケ付きエプロンを身につけ、降り立った彼は。十歳の少年の姿に変わっていた!
硬質で切れのある、スッキリとした文体が読んでいてなんとも心地よい。ダークファンタジー、サイバーパンク、さもありなんな格好良さ。
だが、上記のエプロンの描写にあるように。
シリアスでハードボイルドな世界観に、ちょいちょい家事描写が入るのだ。そして主人公目線で描かれているのでつい忘れてしまうが、ふと10歳の姿であることも。
そのミスマッチが真顔で繰り広げられるので、ブフッっとつい笑ってしまう。
剣と雑巾を持ち、家政婦となった、断罪屋の主人公。
都市の闇を斬り、崩壊させるだけではなく。
再生させるために。『浄化』するために。
真の家政婦として、都市の心の汚れさえ掃除せんと立ち向かう!
私が読んだのは中盤のここまで。ここから先、あなたもぜひ一緒に読んでみませんか?
本作はとある闇組織の掃除屋が、近未来的な異世界に転生を果たし、その世界の闇に触れていく重厚感たっぷりのファンタジー作品です。
巷の異世界系とは一線を画す、作り込まれた設定が魅力ですね。
このジャンル、(私みたいに)知識が生半可だと絶対書けないんですよね……。
科学技術、資源、文化レベル、固有名詞に至る全てを自分でデザインしないといけないのが、本当に大変で。
ですが本作は、その辺りの舞台設計がしっかりしてあるのと、それに応じた世界観説明が物語中でされるので、ふわふわした空気感にならずに読み進めていくことができます。
その一方で、小難しくなりすぎてないのもポイントですね。
設定解説を連発しないあたり、しっかりと構成を練っていらっしゃるのが伝わりました。
合間合間で挟まるおまけコーナーが、骨太な物語に良い意味でガス抜きになってくれます。
キャラとしては、やはり主人公の少年(但し転生前は子持ちのナイスミドル)が、渋くて良い味出していました。
ある程度精神面が老成したキャラなので、場面場面での主人公の挙動に違和感が無いと言いますか、いわゆる「若いなあ」みたいに読んでいて歯痒さを感じるところがないと言いますか。
近未来のハードコアな物語に興味があるのでしたら、間違いなくお勧めできる作品でした。
キャッチコピーを見ただけで、その属性の多さに驚かれると思います。
元々は地下組織で最強だった暗殺者。
拾い子を育てるうちに万能家政夫となりますが、襲撃を受け異世界へ転生することに。
もう、この時点でめちゃくちゃ魅力的な主人公ですよね。
転生先は、魔導科学と分散型技術によって運営される、中央集権から脱却した空中自由都市。
十歳の少年の姿になってしまいますが、中身は苦味ばしったハードボイルドイケオジのままです。
ポンコツ魔女のエリシア、情報屋の双子の少女達と一緒に、都市の崩壊を防ぐため、大掃除に着手することに。
洗濯、料理等のハイクオリティな家事をこなしつつ、自慢の刀で切って切って斬りまくります。
やがて辿り着いた都市の秘密。
彼が出した結論は如何に?
現代のAIと人類の今後にも通じる奥深いテーマは私達にも問いかけてきます。
これから世界とどう向き合っていきたいか。
考えるきっかけをくれる作品です。
是非、皆様も体感してみてください。
お勧めです!
元断罪屋、現家政夫が、家事無双とも言えるまさかの食材を強力な武器に変えて、バッタバッタと敵を薙ぎ倒す!
くまアップリケのエプロンを血に染めて——
そんな、シュールな世界観に君臨する主人公は、自分を慕っていた男の裏切り(?)で身近の大切な人々の命を奪われてしまう⋯⋯。
ハードな展開かと思いきや、ここで事態は思いがけない方向に主人公を巻き込んでいきます。
なんと、剣と魔法と、家事が交錯する世界へ転生(!?)
作者様のシリアスとコメディのバランス感が良く、一気に読んでしまいます!
程よい脱力感が心地良い、本作をお勧めします♪