第28話

「えっと……皆さんのお陰で……勇者を倒すことができました。皆さんがいなければ、わたしはもうとっくにこの世からいなくなっていました……。なので、その……ありがとう、ございました……!」


 勇者ご一行との死闘の翌日、わたしはいつものように最深部の玉座に座り、目の前に並んでいる配下の皆さんにお礼を言いました。今もこうして玉座に座れていることが信じられませんし、いつものようにと玉座に座れている事実も未だに信じられません。


「いいえ。決着を着けたのは魔王様の一撃です。ですので堂々と胸を張ってくださいませ」

「そうよ! あたしはあんたがいたから、魔王軍の一員として戦ったんだから!」

「よくやった。後でおじさんから褒美をやろう」

「えっと……おじさん、誰ですか……?」


 二人だけだった魔王軍も、いつのまにか倍以上の人数になりました。リラ王女はこのまま魔王軍に入ってしまっていいのかとか、おじさんはこれからどういう立ち位置でいるつもりなのかとか、チィミさんには初日から無茶させてしまったからすぐ辞めないかなとか懸念事項はいっぱいありますが、とりあえずはこうしてギリギリ軍としての体裁を保てる人数にはなりました。


 それに――。


「まおうさま! これからどうするのです?」

「ぼくたち、なんでもします!」

「にんげんたちをたくさんきりますわ!」

「どんなやつでも、あいてになるぞ!」


 新しく配下になった方々もこうして増えたことですし、やれることはたくさんあるはずです。相変わらず求人の反応は芳しくありませんけど。


「それでは魔王様。今後はいかがいたしましょう?」


 そうしてスリマ様が一歩前に踏み出しながら、わたしに尋ねました。


「そうですね……」


 しばらく考えた後、わたしはゆっくりと、口を開きました。


「東西南北にいる地水火風の精霊も、わたしたちの配下にしちゃいましょう……!」


 その後彼女が世界の歴史に永遠に名を刻むこととなる大魔王となったのは、また別の話だ。

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最弱魔族少女の新人魔王生活 夜々予肆 @NMW

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