第9話 完結世直し始める!

「これは何の騒ぎだ! 暴れたのは貴様か!!」

「巡回兵、領主の私兵か国防軍所属か?」

 身分証明書を見せながら僕は言った。


「カントの私兵では御座いません、ハリス・サクス法服貴族様!」

「私兵で無いなら、何処の所属だ? 質問に速やかに答えよ! 国家反逆罪で纏めて成敗するぞ!!」


 偉そうな態度にも随分慣れて来たな。


「じ、自分達は、カザミ准男爵様の領軍で……」

⦅ハリス様、カザミ准男爵は王都に住んで居ますが、カント町の領主です⦆

 イクスが小声で耳打ちして、教えてくれた。


「カザミ准男爵の領軍? カントがのさばる無法町を何故放置して居った事と次第に寄っては、カザミ准男爵も国家反逆罪で処罰する」


「お許し下さい! ハンターギルドのギルドマスター、カントを代官にした事はカザミ准男爵様ご本人が失敗で有ったと悔やまれておいでですが、組織力で実質支配して居たカントを我々巡回兵も抑える事が出来ませんでした! カザミ准男爵様にハリス・サクス法服貴族様のご活躍を報告し、新生カザミ町を統治して貰います!!」


 僕と巡回兵が話て居る間、イクスが動き回りカント達の死骸を漁って居るのが見えた。


 気が済んだのか帰って来たので、面倒事を押し付けられる前にカント町を出る事にした。


 町から出て暫くして、イクスが言った。

「ハリス様、お金の入った巾着袋を全て回収しました」

「流石傭兵はしっかりしてるね」


「はい、受け取って!」

「いや、僕はお金結構持ってる、イクスさんの路銀にすれば良い」

「えぇ? 私が貰って良いの? ハリス様に金貨10枚も貰ってるよ?」


「旅をするにはお金は必要、邪魔には成らないでしょ?」

「邪魔に成る程お金稼ぎたい!」

「あははっ、そうだね稼げたら良いね!」


 イクスの受け答え会話は楽しい、ずっと一緒に居てくれたら、詰まらん旅が楽しくなる。




 王都のスラム街、家無しの路上暮らしの孤児だった僕は知らなかった、王都のみ特別住民が暮らし難い酷い状態と思って居た。

 でも王都を出てたった二つの町が二つとも酷い町だった。


 宰相様が特権を僕に与えてくれた意味が分かった気がする、この国は酷い状態なのだろう、何処まで出来るか分からないが遣るしかない、案内人傭兵のイクスは頼りになるし一緒に旅をするのは楽しい、正確な情報方針を宰相様に頂きたいが、王や師匠と敵対しても一巡回って王都に帰って聞きたい。




 ◈ ◈ ◈


 1万文字以内の短編として完結させます。

 読んで下さった方有り難う御座いました。

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僕は果てしなく流浪する 犬時保志 @ysxyz

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