知能、ここどこ？

第1話

壁だ。白い壁が3枚と雨戸。

シャッターというほどお金がかかって無さそう。

白い壁は見てるほど白い。でも雨戸があるから取調室では無さそうだ。うーん。

どこなんだろう、ここは。天井には和室みたいな温かい電球。古めかしい色だ。

暖色というのは白すぎる壁に対して人肌くらいの温かみを与えてくれている。

床を見る。特に何も無いか。でも暇だし見てみよう。フローリングだ。雨戸と暖色電球なのにフローリングか。改装されたのは現代で床にだけお金かけたのかなって、失礼かも。雨戸も暖色電球も情緒から見るといい物だし。

あみだくじみたいなフローリングをみて、なにか思い出した。いつもあみだくじの先を当てることができたなって。運でしょって言うけど百発百中だと怖くなる。でも宝くじは当たったことない。筋道が決まってれば当たるのかな。あ、関係ない、ここを特定しないと。

だってドアがないんだもん。壁と雨戸だけ、雨戸って言っても内側から鍵をどうこうできない仕様だ。まるで閉じ込められてるような、記憶ないんだけど。

寝てた？にしても時計がないし。

連れてこられた？だったら説明がつくけど。

誰に？なんのために？不思議とお腹空かない。

食べてからここに来たのかな。ふふ、情報がなくたって考えることはできるんだぞ。ばかめ。

なんのためにここにいるのかな。

壁に手を置いて叩いてみる。

出してって、起きたよって。外界からの反応を見てみないとどうしようもない。

雨戸も叩いてみた。こっちのが音が響くでしょ。賢いなぁ。

おっ、誰かの足音だ。開けてよ。

開けてくれた。そういえばずっと3角座りみたいにしてたから足伸ばしてみよう。案外狭いところだったんだ。

開けてくれた人間が喋ってる。でも言葉がわからない。外国…語かな。少しだけ聞き取れるけど、聞きなれないから聞く元気なくした。

とりあえず出してくれたらいいからさ。話終わるまで待ってるよ。

おっ、終わりかな？さて、出してよ。聞こえた単語だけ反芻すると｢この猿は殺さない。｣って言ってた。外国で猿扱いされるとは思わなかったな。でも生かされるってことはここにずっと居るのか。

僕のこと勘違いして変なご飯出されちゃ困るから、先に言っておくね

僕、チンパンジー