一月十七日(モラ逃げ一四七日目)、無業者
今日モラ逃げ一四七日目。福島に避難して二十一週間が過ぎた。
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ハローワークで紹介状を貰った職場のホームページを昨日改めて検索して確認したところ、応募書類には履歴書、職務経歴書の他に自己PRも添えた方が良いようなのでPowerPointを久しぶりに開いて作る。
むろん、自分の条件では書類審査が通るかも怪しいが、それでもベストを尽くすしかない。
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午後、次女と散歩する。
昨日も二人で散歩していてまだ新しいメタリックピンクのプラスチックのウサギの飾りが落ちているのを見つけ、目立つ場所に置いておいた。
その付近に差し掛かると、今日は同じ飾りが片耳の取れた状態で転がっていた。
取れた片耳も次女が見つけ、また風で飛ばなそうな場所に置き直す。
「落とした人はもう見つからないと諦めちゃったのかな」
と次女は語る。
「また散歩してあのウサギを見付けたら凄いね」
とも言うが、既に耳も片方折れておりボロボロになっていくのは母親としては見たくない。
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近くのドラッグストアに行って履歴書送付用の封筒も新たに買う。
これはまだささやかな部類だが、就活にはそれ自体が細々とした金がかかるのだ。
自分は今まで何度も就活したが、いつも悪条件の下で有り金だけがどんどん削られていく罰ゲームのようなものだった。
夫からのモラハラに苦しんでいてもなかなか逃げる決心がつかなかったのは
「またあの望みのない就活をするのか」
「今さら就活しても昔よりもっとダメだろう」
と希望が持てなかったのも大きい。
次女は好きな小物とお菓子を何とかお小遣いで買ったが、お菓子だけ消費税を抜かして計算していたので会計後にまた店の商品棚に行って
「値段が二つ書いてあるけど、高い方が本当に払わなくちゃいけない額だからね」
と改めて説明した。
物の値段はどんどん高くなって苦しい人は増える一方なのに消費税は廃止される気配もない。
今の日本で閉塞感を覚えているのは無職無収入で離婚調停中の自分だけではあるまい。
帰っていく道は日蔭の道脇にわずかに雪が残っているほかはいつもの路地に戻っていた。
私たちの暮らしにはいつ雪解けが来るのだろう。
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次女は黄色いフェルトに棉を詰めて水色とピンクの糸で小花を刺繍した針山を自分で作り上げた。
この子は本当に器用だ。ちなみに使っているのは私が小学生の頃に学校指定で買った家庭科用の裁縫道具セットである。
当時よりも活用されているかもしれない。
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先日、次女が選んだ生地で母がエプロンを作り始めた。
本来は私が作るべきなのだろうが、一から衣類を仕立てるのは難しいのでお任せする。
ちなみに母は祖母(母の母。次女にとっては曾祖母)が昔使っていたミシンをタンスから出していた。
私はミシンの糸の掛け方すら覚束ない。
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職務経歴書や資格の取得歴などの再確認のためデータを探して横浜から持ってきた昔のUSBメモリを確認する。そこで過去に書いた小説の断片を多数見つけた。
「上海リリ」の達哥視点の番外編は基本の話はもう出来ていたので少し手直しして久々に更新した。
むろん、本編としては進んでいないわけだが、少しでも更新できたことが自分としては嬉しい。
ちなみに作中の達哥は三十二歳でエピソード執筆時の自分も同い年だった。
今は彼より一回り上だが、現実にはあまりにも非力なのがやり切れない。
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今日は阪神大震災から三十一年目だ。
当時は中学受験生だった自分も中受を控えた子を持つ母だ。
あの頃より日本の防災体制や被災者支援は進んだと言えるのだろうか。
モラハラ離婚日記 吾妻栄子 @gaoqiao412
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