林 杉雄 の日常

霧宇

林 杉雄 の日常

 俺の名前ははやし 杉雄すぎお。ごく普通の高校生だ。

 今日はそんな俺の日常を紹介したいと思う。


 PM6時:起床

 起きてまずすることといえば……そう‼ SNS上で起床報告だ。


 「今日も快眠‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼今日は夢の中で世界を平和にする夢を見た」

 そう投稿する。


 するといつも誰かから即座に返信が来る。

林杉はやしすぎさん、今日もイケメンwwwwwwwwwwwwwwwww」

 そうだろう


 何てったって、俺はクラス一の美女に

杉林すぎばやしって、ラグビーボールに目と鼻と口と耳と毛を生やした顔してるよなwwwwwwwwwwww」


 そう褒められたことがある。

 どうやら、俺の隠しきれないイケメンオーラが漏れ出てしまったようだ。



 PM6時30分:洗面&朝食

 エゴサを終えた後、洗面所で自分の顔を確認する。

 そこにはいつも通りのイケメンがいる。

 いつ見てもきれいだ……おっと危ない、このままでは日が暮れてしまう。


 洗面を済ませた俺はすぐ食卓へ向かった。

 朝ごはんといえばやっぱり、白米と味噌汁と……緑茶だな‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

「今日の茶柱の数は………おっ‼‼‼‼‼‼‼‼ 25本‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 最高記録の444本には及ばないが、今日の幸先もよさそうだ。


 PM7時~8時:登校

 支度を済ませ、家を出る。

 歩いて学校に着くまでの11分の間、俺は通りすがりの人全員に挨拶をする。


 おっ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

 ランドセルを背負った少年発見‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 他の人と同じように、

「おはよう、少年‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 そう元気よく話しかけると。


 少年はうつむき、

「おっ……さんww 今日……もwwww ひげすごいねwwwwwwww」

 と笑いながら返事をしてくれた。


 お腹が痛いのかと心配したが、

 俺の存在が明るすぎてつい笑顔になってしまうらしい。

 俺には人を笑顔にする力がある‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼

 この調子で挨拶を続けるぞ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼





 学校に着いた。

 教室に入ると真っ先に親友の草林が、

「お前、今日もひげ剃ってきてないのかよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 爆笑しながらそう言ってきた。


 俺は即座に、

「どうだ、かっこいいだろ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

 そういうと俺の力が発動したのか、周りがクスクスと笑い始めた。


 学校1限目:生物

 1限目が始まった。

 担当は髪がフッサフサのふっわふわで有名な

 不破ふわ 神惰がみだ 先生だ。


「砂漠バイオームにみられる植物を………林、答えなさい」


 おっと、当てられてしまったか。

 でもわかるぞ‼‼‼‼‼‼‼


 植物と言ったらやっぱり……

「スギナです‼‼‼‼‼‼‼‼」

「ちがーーう‼スギナは雑草でよく生えるけど砂漠じゃ無理だーーよ‼

 確かに砂漠緑化で使えるっていう意見もあるけど、

 それも否定的にとらえられてるーーよ!ふつうはサボテンとかでーーーしょ‼」

 そう即座に叱責されたが、

 ふっわふわの髪が優雅になびく様子に魅了され、頭に入ってこなかった。


 学校2限目:数学

 2限目が始まった。

 担当は髪が少ない で有名な

 かみ 数九七すくな 先生だ。


「この問題を……林杉、答えなさい」


 おっと、またあてられてしまったか。

 でもこの問題は簡単だ。わかる‼‼‼‼‼‼


「44444444444444444

 です‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

「ちげーわ‼そんなにわしに死んでほしいのか?」

 なんか怒られた。この数字超ラッキーなのに。


「いや、全然違いますよ。

 林一族では、884(はやし)の数字はすごい幸運を呼び込むんですよ‼‼‼‼‼‼‼」

「わしにとっては497(すくな)は不吉な数字なんじゃよ‼」

「いいじゃないですか、某呪いの漫画で出てくる奴と同じ名前で。

 かっこいいですよ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」

「確かに……ってなるか‼

 君には追加課題のこのプリント……あれ?1枚しか…ない?」

 そう言って紙先生は

 1枚のプリントを虚しそうに見つめ続けた––––


 そして授業は終わった。


 学校3時間目:国語

 3時間目が始まった。

 今日は午前授業だからこれで終わりだ。


 でも、国語の担当といえば……

「これから授業を始めます‼」

 

 そう威勢よく入ってきたのは、

 国語科主任である伝説の教師‼

 縁超えんちょう 数奇子すきこ

 紙先生のお姉さんで、すでに入籍済み。

 学校では授業延長と数十回の離婚から、

 『生き過ぎる伝説』とまで呼ばれている。



 


 ~授業開始から200分後~

 この授業が一向に終わる気がしない。

 かくなる上は……

「先生‼‼‼‼‼‼もう、140分も授業延長してますよ‼‼‼‼‼‼」

「林、授業中は静かにしろ‼

 それと……私には時間を操る力がある。

 この教室内の時間の流れは通常の数十倍速い。

 廊下を見れば、すぐわかるだろう。」


 そう言われて廊下を見ると、なんと!!‼‼‼‼‼

 紙先生が大量のプリントを落としている姿が‼‼‼‼‼

 

 スローモーションで落ちていくプリントと

 それを見て焦る紙先生の姿。これを見て笑顔にならない人はいない。

 クラス中が笑いに包まれた。


 これが、紙先生が僕たち生徒を初めて

 髪と紙の少なさ以外で笑わせた歴史的瞬間である。


 その後も数十時間授業は続いた。

 紙先生のプリント拾いも……

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林 杉雄 の日常 霧宇 @NKsaiboupannda

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