涅土に祈りを、況や祭禮を捧げ奉れ。

と或る普通の一家の庭先で、息子が父親を
殺害する事件が起きた。
 殺害の経緯は曖昧模糊としていたが、
どうやら庭の手入れをしていた父子に何か
トラブルがあったらしい。父は滅多刺しに
された失血死だが、刺した息子曰く
 注意されたので、ついカッとなって
   刺してしまった…と供述している。

供述の 不自然 に気付いたルポライター
 彼の調査でその家が建つ 土地 の
   不穏さが浮き出して来る。

それは、嘗て曰くがあったというには
凡そ想定外の 事実 であり、謎は解けた
様に見えて、実は何一つ謎のままだ。
 それどころか、この話に出て来る人々、
無辜の民を愛おしく又痛ましく思うのは
何故だろうか。

    黄泉の竈門

その意味を知る時、そしてこの作品の
タイトルに
 筆者の恐るべきセンスを感じる。