標
子律
【標】
セミの鳴き声が煩い
足元に逃げた布団が冷たい
じんわりとかいた左手の汗が気持ち悪い
1歩目はどうしてこんなに重いのか
1口目はどうしてこんなに美味しいのか
1週間はどうしてこんなに長い気がするのか
チャイムが鳴らない12:30
自分の世界に篭もる13:00
人と空間に馴染もうとする13:09
投げたつもりで真っ直ぐ床に落ちる声
産んだつもりで死んでしまった心
解ったつもりで流れて忘れた字
人は多いのにいつも何故か席は空いている
余裕もないのにいつも何処か気を張っている
夢もないのにいつも何処か力を抜けないでいる
太もも裏の汗で少し足が冷えて
見えない天井を見て目頭が熱くなって
乾かしたはずの髪の毛が湿り気を持って
私は────
私の─────
私って─────
あれ
…何がしたかったんだっけ
標 子律 @kor_itu-o
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