『ベルフェゴールの誘惑』

かごのぼっち

独白《毒吐》

 こうなったら白状しましょう。

 私、好きなんですよ。







 デブ猫。






 これは禁断の恋に等しく、私にあるまじき衝動。いや、激情とも言うべき絶愛。


 この背徳にも似た、とてもいけない感情を、この度、開封しようと思う。


 そもそも。

 そもそもだ。


 あの


 あの、ふくよかなカラダは何だ!?


 猫と言うだけでモフモフ、猫撫で声、ウィスカーパッド、肉球を持ち合わせているのだ。それを包み隠さず全裸でねころんでいるだなんて、破廉恥極まりない!!


 なのにテブ猫ときたらどうだ!?


 たっぷりと、これ見よがしに体内に蓄積した脂肪。脂肪。脂肪。

 猫なのに動くことを諦め、わがままに育ってしまった体躯こそがそれを拒んでいる。一切の運動を拒絶し、低燃費に特化し、堕落した生活習慣が生み出した至宝しぼう

 骨格は同じはずなのに、明らかに短くなったと思わせる四肢。尻尾。そして小顔感。

 その手触り、抱き心地こそは⋯⋯そう。


 極上。


 あのふくふくとした触感、滑らかな毛並み、そしてなんと言っても重量級のでっぷりとした質量だ。どんな高級抱き枕をも不必要となること請け合いだろう。


 圧倒的不健康を体現したそのフォルムは、揺るぎなき怠惰の象徴。好色の悪魔。


『ベルフェゴール』


 圧巻とも言えるその態度たるや、人を召使いのように動かす魔王気質。


 にくたらしい。

 ずうずうしい。

 あつかましい。

 ふてぶてしい。


 なのに


 愛してやまない。





 いいか?

 これはいけない感情だと言うことを忘れてはいけない。これを彼らに求めることはすなわち、虐待。彼らを不健康たらしめるのは、彼らに肉欲を求める我らの欲望なのだ。

 

 そう。


 これは禁断の愛。


 見てはいけない。

 触れてはいけない。

 けっして求めてはいけない。


 求めること。


 それは罪。


 けっして許されない。


 罪なのだから。













 ダメだっ!!

 いけない!!

 抑えられるか、この渇望!!

 誰か!

 デブ猫を!!

 でぶね( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン





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『ベルフェゴールの誘惑』 かごのぼっち @dark-unknown

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