あなたが私を映すまで
無欄句カルタ
鏡はあなたを映した
ひとつ、またひとつ。
赤い果実に罪を込める。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」
私の知りたい事を、なんでも教えてくれる、魔法の鏡。
そこに私は映らない。
「白雪姫です」
外れの森に住む美しいお姫様。
綺麗ね、素敵。
魔法の鏡を手に入れてから、私は何度も同じ質問をした。
世界で一番美しいのは、だぁれ。
魔法の鏡が私を映すことは一度もない。
映し出されるのは、いつも決まって私以外のお姫様。
素敵な素敵な、お姫様。
「白雪姫、綺麗だわ。あなたは林檎、好きかしら?」
何度も何度も繰り返す。
シンデレラは舞踏会の夜から目を覚まさず、
オーロラ姫は永遠に夢を見続け、
人魚姫は泡になったまま戻らない。
みんなみんな、いなくなった。
「あなたがいなくなれば、次は私が映るかしら?」
森の中の、小さなお家。
あなたは私の林檎を食べてくれた。
おやすみ、白雪姫。
また会いましょう、私が一番になった世界で。
「さあ、鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰かしら。あと何人眠れば、私は一番になれるかしら」
私がこれ以上美しくなる必要はないの。
だって私はこれ以上ないってくらい綺麗だもの。
だから。
私以外の美しい姫たちが、みんないなくなればいい。
そうすれば、この鏡は私を映すわ。
きっと、私を映してくれる。
林檎を届けましょう。真っ赤で美味しい、罪の味。
「素敵なお姫様ね。長くて綺麗な魔法のような髪。そう、次はあなたの番なのね」
あなたは林檎、好きかしら。
あなたが私を映すまで 無欄句カルタ @sasami0905
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